
中部電力は5日、御前崎市の浜岡原子力発電所3、4号機の再稼働の前提となる原子力規制委員会の新規制基準適合性審査で「不適切事案があった」と発表しました。
耐震設計の目安として想定する揺れである『基準地震動』を意図的に過小評価して提出していて、事実関係や原因を調べるため、外部の弁護士3人からなる第三者委員会を設置することも公表しました。
同社によると、原子力部門の担当者が基準地震動の策定にあたり、中部電に都合の良いデータを恣意的に選定し、2019年1月の審査会で規制委員会に説明していたそうです。基準地震動は、施設の耐震性確保の上で最も重要な審査項目だけに、問題は極めて深刻です!
中部電力は、原子力規制委員会の審査で、耐震設計の基準地震動について、20組を計算した上で…「平均に最も近いものを代表にする」と説明していましたが、実際には地震の揺れを小さく見せるため、数千通りもの地震動を作成し、意図的に代表波を選び、グラフを作成していたのだそうです。
報道によると…原子力規制庁に昨年2月、外部から「不正がある」との情報提供があり、中部電力に調査を依頼して発覚したそうです。同社は昨年12月に不正行為を申告したため、規制委員会はすでに浜岡原発の安全審査を完全に中断しています。
名古屋市で臨時記者会見に臨んだ同社の林欣吾社長は「「審査に重大な影響を及ぼし、信頼を失墜させる深刻な事案と受け止めている」と陳謝しましたが…基準地震動は原発の耐震設計の基礎となるものだけに、同社が目指した「早期の再稼働」は事実上、不可能になりました。
私はこれまで、総額4000億円といわれる安全対策費用を投じ、防潮壁工事等の津波対策や新規制基準対応等に取り組んできた中部電力の企業姿勢を評価していました。ここ数年、頻発している配管や配線の破損等の軽微なトラブル、ボヤ騒ぎ等の際にも、担当者からの丁寧な報告や対応策の説明を信じて、一切問題視してきませんでした。
昨年11月には…安全対策工事を巡り、不正発注や不適切な契約手続き、業者への代金未払いが合計20件も発覚。当時の原子力本部長(副社長)や原子力部長が更迭処分となる大事件となりましたが…歴代の広報担当者の誠実な人柄や長年に渡る詳細な事前報告を通じて築いてきた信頼関係を重んじて、ブログでもSNSでも取り上げませんでした。
しかし、今回は12月には事態が判明していたにもかかわらず…午後4時からの社長会見の前にも後にも、まったく報告も説明もなかったことに、原発隣接市の県議として大きな憤りと不信感を抱いています。
静岡県の鈴木康友知事は「県民の信頼を損なう重大な事案で、大変遺憾です」というコメントを出しましたが…私も全く同感です。県は同社に事実関係や原因の調査と説明を求めたほか、国に対しても厳正な審査と指導を求める方針を決めたそうですが…
私も今後は、中部電力の発表や報告は絶対にうのみにはせず、地域の代表として厳しい視線と姿勢で臨みたいと思います。
◆基準地震動 原子力発電所で想定される最も大きい地震の揺れで、原子炉建屋などの耐震設計の目安となる。周辺の活断層などの震源が特定される地震に加え、未知の断層で起きる地震も想定し、地盤の影響なども考慮して策定する。揺れの大きさは加速度の単位(ガル)で示す。中部電力は2014~15年に浜岡原発の審査を申請し、49の基準地震動が23年9月に規制委で認められた。最大加速度1200ガルとなる基準地震動の1つは別の評価手法で算定されたが…全部で45もの地震動が今回の不正な評価手法に基づくとされる。
