
静岡県立小笠高校(菊川市)のOBによる『第15回小笠高校農業茶業セミナー』に伺い、静岡県…特に志太榛原や中東遠地域の茶業の現状と将来ついて、学習させていただきました。
今年で創立112年目を迎えた総合学科高校の同校は、30年前までは小笠農業高校という農業高校で…牧之原台地周辺の農家の若者たちが集い、研鑽を積む学び舎でした。
年に1度の同窓会を「われわれの農業や茶業の明日を考える機会にしよう」という有志の発案で、近年は一般にも開放する勉強会に替えて開催されているのです。
今回も同窓会会長や学校長の挨拶に引き続き…3名の同校OBの茶農家さんの主として『複合経営』の報告と、JA静岡経済連の清水直也茶業部長による「どうする静岡茶」という講演が行われました。
約60人の参加者に配られた県の茶業の現況や県議会2月定例会での代表質問の文言、そして週明けに可決される県の茶業振興の諸施策の資料の一部は、主催者で事務局長の赤堀さんに私が提供したものだったこともあり、各人の熱を帯びた多様なご意見ご提案を、とても興味深く拝聴させていただきました。
藤枝市岡部町の茶農家出身というJA経済連の清水茶業部長の講演がとても分かりやすく、もっともだと感じたので…ご本人が作成したレジュメをそのままご紹介します。
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【どうする静岡茶】
私が考える今必要なことは「柔軟に対応できる体制づくり」です。その一つ(=最も重要だと考えます)が、品種転換・改植です。
大型の碾茶(てんちゃ)工場を乱立するのではなく、立ち行かない工場は整理し、既存工場を活用することや、地域での工場経営等も検討する必要があります。これをできるだけ早期にできれば、どのような状況にも対応可能だと考えます。
やぶきた89%、リーフ需要に向けた工場体制…リーフ隆盛の時代であれば効率的ですが、現在の流通環境では全く身動きがとれません。
リーフも大切なことは事実であり、残して行くべきものだと思います。ただ、経営的に成り立たたないのが現実です。「それでも残すべき」ということであれば、補助金で残すしかありません。
経営で考えれば売れないものを作り続けるのではなく、売れるものをつくることが基本です。今は煎茶価格を安定させることが必要だと思います。
今までの茶業界は、どうしても動かない〝定数〟を頑張って動かそうとしていて、どうにもならない状態が続いている。動かないなら、動く〝変数〟に労力をかけるべきです。
「現場は大変で改植・被覆なんてとても出来ないよ!」「抹茶、抹茶と言うけど、どれだけもつかわからない。みんなつくったらあふれるよ!」
で、結局何も変えない。「じゃあ、安くても仕方ないですね?」「とにかくいいものつくって頑張りましょう!」で済みますか?
私は茶農家に生まれ、茶農家の仕事に触れ、学校でお茶を学び、就職してから30数年間、茶業に携わって来ました。実家はミカン農家でもあったので(お茶が売れた時代には)ミカンの樹も切りました。
茶業は全くチャンスがない訳ではなく、常にお金がとれるチャンスがあります。全く光が見えない訳ではないのです。ゴール(…を目指す姿)があれば、その方向に進みます。ゴールがなければ迷走します。
静岡の魅力は「いつも身近にお茶がある」ことだと思います。今の状況を食い止めるべく、みんなで光の方向に進みたいですね。
