
タイのサッカー界で一番有名な静岡県人指導者・神戸清雄(かんべ・すがお)さん(63=藤枝市出身)と、初めてお会いすることができました。
今回の『温浴を活用したウェルビーイング推進議員連盟』の友好親善交流訪問団のメンバー西原明美県議の藤枝中時代の同級生という縁で、バンコクから東北に260km離れたナコーンラーチャシーマー市から、マイカーを飛ばして駆けつけてくださいました。
ホンダFCやジェフ市原(現千葉)で長年指導者として活躍し、フィリピンやグアムの代表監督も務めた神戸さんは2013年、代理人からの電話1本でタイのクラブからのオファーを決断。それからもう12年、家族を日本に残し、ずっとタイで仕事を続けています。
タイで最初指揮を執ったナコーンラーチャシーマーFCでは、クラブ史上初の1部昇格に導き、名声を不動のものとしました。「着の身着のままのような感じで来たタイに、まさかこんなに長くいることになるとは思ってもいませんでした。クビになっても、すぐ他から声が掛かるので、帰れなくなっちゃって(笑)」
親日国のタイでは、1990年代から急速に力を付けた日本サッカーに対する興味と関心がものすごく…「日本に学ぼう」「日本の指導者を呼べ」という風潮が続いています。
タイ代表チームで、G大阪や名古屋等でJ1史上最多270勝の元日本代表監督・西野朗さんや、私が鹿島番記者だった時代にお世話になった現監督の石井正忠さん(元鹿島等)の人気や活躍も、神戸さんというパイオニアがいたからこそなのです。
「私は、タイの日本人監督では2人目ですが…日本サッカーや日本人に対するリスペクトをとても感じます。本当に素敵な国です。タイの選手のポテンシャルは、すごいものがあると感じます。タイはこれからもっと良くなるし、そのお手伝いをしたいからまだここにいるんです。私はタイサッカーの〝山田長政〟(=静岡生まれ)を目指します!(笑)」
人懐っこい笑顔で夢を語る神戸さんのお話に、静岡県からの訪問団全員が、幸せで誇らしい気持ちになりました!! 神戸さん! ありがとうございます! これからも、頑張ってください!!
◆神戸清雄(かんべ・すがお) 1961年(昭36)8月2日、藤枝市生まれ。静岡高から早大を経て、本田技研(現JFL ホンダFC)でMFとしてプレー。1990年に引退後、ホンダがJリーグ参加を見送ったことを機にジェフ市原(現J2千葉)に移り、01年まで各年代コーチを歴任。2000年と01年には監督代行も経験した。
2002年からは日本サッカー協会の強化スタッフとしてフィリピン、グアムに派遣されて代表監督を務める。任期満了後、名古屋のユース、トップコーチを経て、09年には再び日本協会に北マリアナ諸島へ派遣され、代表監督を務める。
2010年1月、J2に降格した千葉のテクニカルダイレクターに就任。翌2011年のシーズン途中には、初めて「監督」として指揮を執り20チーム中6位でJ1復帰を果たせず退任。
2013年からタイに渡り、当時同国2部のナコーンラーチャシーマー・マツダFCの監督に就任。翌14年シーズンにリーグ優勝を果たしてタイ・プレミアリーグ昇格を果たす。その後も、チエンマイFC、ウボンUMTユナイテッド、ノーンブワ・ピッチャヤFC、コーンケン・ユナイテッドFC、ラヨーンFC、そして昨季はスコータイFCの監督を務めた。
現在は2021年に、タイの実業家が結成したサッカーアカデミー『VISAサンダー』で、プロを目指す子どもたちの指導を続けている。
