天狗の出て来ない天狗の話
今朝は、今年最初の『読み聞かせボランティア』でした。遅刻寸前だったので、今日も読もうと思っていたジーコの絵本を家に忘れてしまい…車の中に常備している旧榛原町時代に教育委員会が発刊した民話集をつかんで、5年1組に行きました!
『天狗の火』という不思議な話を読みました。我が家の近くの曹洞宗の名刹・釣学院の裏手を流れる勝間田川で真冬の深夜、禁止されていた投網で大量のフナなウグイを捕っていた兄弟が、巨大な火の玉(UFO?)に遭遇したという、今なら『世界仰天ニュース』で紹介されそうな凄い話です!
21世紀の今では、どんなに寒くても勝間田川の川面に薄氷が張ったりしませんし、川の中にはフナやウグイはもういませんから、話の核心の部分に行くまでに、読んでいるワタシもドキドキする興味深い地元の物語なのです。
東の空に突如現れた赤々と不気味に輝く一かたまりの火が…「尾を引いたかのように走ったり、くるっと向きを変えて球になったり」して兄弟の真上までやってきたのです。
あまりの恐ろしさに、川岸の枯葉の上にうつ伏して、頭に草履を載せて震えていた2人が、上目遣いにそっと見上げると、火の玉は鹿島神社の森の上で、怒り狂ったようにメラメラと燃え上がっていたそうです。
「最初は1つだった火は2つになり、3つになり、4つになって森全体を覆い、辺りは真昼のように明るくなった」というのですから、まさに『未知との遭遇』の世界です。兄弟は手を合わせて「南無阿弥陀仏(ナンマンダブ)!!」と必死で繰り返し唱えていると、フッと光は消えました。
抱き合って喜んだ2人でしたが…気が付くと、川魚でいっぱいだった籠が空っぽになっていたのです。ますます怖くなった彼らは、全速力で上流に向かって走り出したのですが…戸塚橋まで逃げてきたところで、今度は巨大な大入道(宇宙人?)と出くわしたのです。
両手を広げて2人に襲い掛かろうとする不気味な妖怪に、持っていた竹の棒を振り回して抵抗した兄弟は、命からがら振り切って、勝間田村の自宅まで逃げ帰りました。
起きてきたおじいさんに一部始終を報告すると…「そりゃあ、天狗様が怒ったに決まってらあ!」と一刀両断!(笑) 2人は「もうこりごりだ!」と、それから殺生(=魚とり)は一切やめたそうです。
めでたし! めでたし!…じゃないですよねえ?? (; ・`д・´)
いろんな解説やツッコみを入れながら…「天狗は出て来ない天狗の話」を児童たちと楽しみました!(*´ω`)