大石けんじの独り言
<昨年11月に会派の有志で実施した南アルプスエコパーク現地視察>
静岡県議会令和6年12月定例会は、全議案と意見書を全会一致で可決して昨日20日、無事に終わりました。今定例会では、会派の政務調査会の副会長として、各支部や業界団体からのさまざまな要望の取りまとめや議会運営委員としての実務、そして各会派から提出される意見書案の審議・修正を行う小委員会委員など多くの任務があり、目の回るような忙しさでしたが…
個人的には、やはり初めて担当させていただいた質問日初日の『代表質問』が、一番の大役でしたし、一生忘れない思い出にもなりました!! ずっとこの場で解説・紹介してきたように、総勢68名の静岡県議会で過半数を大きく超える41名の県議を擁する最大会派の自民改革会議を代表して、県勢の諸課題に関わる重要な質問を、知事をはじめとする県庁の幹部に、堂々と展開できたことはとても光栄でした。
全部で14項目16問に及んだ質問は、実に多岐に渡り、他の議員や職員の助言や指導を仰ぎながら、何とかこなせた項目も多々ありましたが…その一方で、自分自身がこだわってきた地元や本県にとって極めて大切だと考える質問も気合を込めていくつか行いました。
本日、最後にご紹介する『リニア工事を契機としたユネスコエコパークの発展について』という質問は、その中でも最たるものだったわけですが…やっぱりというか案の定というか…県当局には、質問の意図や真意を矮小化されて〝肩透かし〟のようなそっけない答弁で処理されてしまいました。その結果、袴田さんの質問と答弁は大きく取り上げてくれた、地元マスコミのみなさんには…「リニアの方は、ゼロ回答でしたねえ」と同情されながらもスルーされて(笑)まったく話題になりませんでした!!
正直、残念でたまりませんが…当日、傍聴席やネットのライブ中継でワタシの質問を聴いてくださっていた多くの友人、知人、支援者…そしてリニア関連の地権者や地元民、工事関係者には、大きな評価をいただいたことも事実です。
そして、巷ではまったく話題になっていませんが(笑)…ネットでは「川勝氏から〝リニア推進の知事〟になったのに…静岡のリニア工事は一歩も進まず、全線開業が見通せないワケ」というかなり過激なタイトルの小林某氏のニュース記事のネタ元として、私の名前と質問が登場していました!!(*^^)v→ こちら!!
いずれにせよ、静岡県議会の本会議の議事録(…しかも代表質問)の中に、しっかりと私の質問が全文、永遠に残るという事実は変わりません! 今回の失敗、挫折にめげることなく、絶対にあきらめることなく、これからも自分の主義主張を貫いていきたいと思っています。
【5日の代表質問の記録⑨=完】
「6.リニア工事を契機としたユネスコエコパークの発展について」伺います。
リニア中央新幹線の山梨工区でJR東海が行っていた高速長尺先進ボーリングの調査がさる11月20日、県境を越えて静岡県内に入りました。
これにより改めてクローズアップされるのは、川勝前知事が最重視していた南アルプスユネスコエコパークの存在です。ユネスコエコパークとは「自然と人間社会の共生を目指し、生態系の保護・保全と地域の人々の生活の両立を実現させた地域」の総称です。
同じユネスコが採択する世界自然遺産のような人間の侵入や開発行為を厳重に規制する「聖域」ではありません。
今年はそのエコパーク登録10周年です。南アルプスを抱える静岡県、山梨県、長野県の10の市町村が協力して請願活動を行い、2014年6月に登録されました。
自然環境は、一度破壊されれば元に戻らないおそれがあります。「南アルプスの自然環境が何よりも大切である」との認識は当然、3県の共通のはずですし、そうでなければなりません。
しかし、リニアトンネル工事の対応では、3県の足並みは全く揃っていません。その理由は、静岡県以外の2県には、総合的に判断して「環境問題への懸念」というデメリットに勝る「リニア駅ができる」というメリットがあるからです。
そうであるならば、本県においても、「リニア工事の着工」に向けたメリットを整理し、真摯に追求する必要性があるのではないかと考えます。
知事は、6月定例会における我が会派の相坂代表の質問に対し、リニア開通のメリットは「東海道新幹線の停車本数の増加」と「新幹線空港新駅実現」の2点だと答弁されました。
私は加えて、本県にとっては「ユネスコエコパークの発展や利活用」も極めて重要であると考えています。人類と自然の共存共栄を目指す場所だからです。水や環境の保全や生態系の維持に尽力しつつ、産業や観光等の施策を進めるべきです。
しかし、現状では大きな課題として、交通アクセスの悪さが挙げられています。リニア工事の予定地である南アルプスの静岡県側に「リニア駅」はできませんが、リニア工事の準備や進捗に伴い、現地への交通アクセスは飛躍的に改善されるというメリットが期待できます。
その恩恵を、ユネスコエコパークとその周辺の発展にどのように繋げるかが最大の焦点となってきます。
これまでJR東海に対して、特別厳しく徹底した環境保全や代償措置を要求している静岡県として、威信をかけて守り抜こうとしているユネスコエコパークを存分に活用し、発展させることが絶対に必要だと思いますが、県の考えを伺います。
【池ケ谷くらし・環境部長】
リニア工事を契機としたユネスコエコパークの発展についてお答えいたします。
環境省の統計によれば、令和元年の南アルプス国立公園の利用者数は全体で約187万人でありますが、本県側は3万人弱と少なく、南アルプスエリアまでのアクセス環境の改善が課題の一つであります。
このため、県や静岡市、川根本町等で構成する南アルプスユネスコエコパーク静岡地域連携協議会では、来訪者の増加に向けて、南アルプスの豊かな自然環境や地域の文化等を発信するとともに、交通事業者や観光事業者などと連携し、交通アクセスの改善に向けた検討を重ねてまいりました。
その結果、本年度は静岡駅と椹島(さわらじま)ロッヂを直接結ぶ、山小屋宿泊者を対象とした登山タクシーの試験的な運行を実現したところであります。試験運行では早期に予約が埋まるなど、潜在的なニーズが確認できたことから、今後は、本格運行に向けた調整を行ってまいります。
県といたしましては、静岡市が管理する県道三ツ峰落合線や林道東俣線の整備に伴い、南アルプスへの交通アクセスが改善されることを踏まえ、今後も関係機関と連携して、来訪者の増加を図るためのアクセス手段等を検討し、ユネスコエコパークの保全と利活用を進めてまいります。
以上であります。
【再質問】
南アルプス国立公園の利用者数は全体で約187万人なのに本県側は3万人弱という数字にびっくりしました。山梨や長野と比較して、静岡県は南アルプスのユネスコエコパークをまったく活かしていませんね。
『ユネスコエコパーク静岡地域連携協議会』はどういうものなのでしょうか。これまでどのようなことをしてきたのか、情報発信してきたのですか。情報発信を通じてフォロワー数は増えたのか、来訪者は増えたのかを教えてくださう。
また、本年度に試験的運行したという登山タクシーの運行形態や料金、和かる範囲で教えていただきたい。確認されたという潜在的ニーズは、工事が始まったら、そして終わったらどれくらいになるのでしょうか。
【池ケ谷くらし・環境部長】
リニア工事を契機としたユネスコエコパークの発展についての再質問にお答えいたします。
「ユネスコエコパーク静岡地域連携協議会」の活動という御質問でございましたけれども、この組織そのものは平成27年度に設立をされておりまして、県、川根本町のほか林野庁ですとか、交通や観光の事業者等が御参加をいただいており、現在の会員数は14ということでございます。
これまでの主な活動実績としては、地域の資源や魅力を発信するための「いかわね新聞」の発行や登山者向けのガイドブックの作成等の啓発事業に取り組んでいるところでございます。
本年度はユネスコエコパーク登録10周年ということでございまして、記念事業も実施をしております。県も、この事業と連携して写真・動画コンクールの開催等を行っているところでございます。
情報発信でございますけれども、昨年度から協議会ではインスタグラムを始めたところでございますけれども、フォロワー数はまだまだ少ないと聞いております。今後、会員が協力して積極的に広報をしていく必要があると考えております。
来訪者でございますけれども、協議会が設立をされた平成27年度以降の静岡県側の南アルプス国立公園の利用者数につきましては、概ね3万人前後で推移をしてきているという状況でございます。ただ、新型コロナウイルスの感染が拡大した以降は、来訪者は落ち込んでいると見込んでおります。
次の質問ですけれども、登山タクシーの関係でございます。運行形態につきましては、募集型企画旅行の形態で運行をしております。
今回、静岡駅から畑薙臨時駐車場までの通常便に加えまして、山小屋宿泊者を対象椹島直通の特別便を運行したということでござい料金につきましては、通常便が片道5500円、特別便が6800円ということでございます。
利用者数でございますけれども、特別便の運行は8月10日から12日までの3日間ということで予定をして募集をしたということでございます。
申込があったのが49名ということでございます。ただ、台風の接近に伴って、キャンセルもあったということでございますので、それよりは少し減っているということでございますけれども、事業者からは、こういったニーズに対応するため、来年度は便数を拡大したいというふうな意向をお伺いをしております。
それから、潜在的なニーズというところにつきましては、今現在、把握はできておりませんが、今後こうした取組を通じて実態をできる限り正確に把握できるように努めたいと思っております。
以上でございます。
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【大石けんじの独り言】
持ち時間や「代表質問者」という今回の立場の関係で、今月5日の議場では言及することは避けましたが…私には、1つの大きな〝腹案〟〝夢〟があります。
南アルプスを東西に貫くリニア新幹線トンネルには、本坑に並行してダンプカーやバスも通れる大きな自動車用の〝先進坑〟や〝作業坑〟が作られます。山梨や長野ではもうほとんど完成しています。
リニア開通後には、その道路トンネルは、非常時の避難路や作業車通路となるわけですが…通常は、基本的には使用されません。。
私が、もし知事や県庁の責任のある立場の人間であれば…JR東海に掛け合って、このトンネルの開放と活用を提案します。いや、強く要求します。
リニア中央新幹線の「山梨県駅」から「長野県駅」までの道路トンネル内をバスや自転車、徒歩でも通行できるように整備して、わずか8.9kmの静岡工区では、斜坑から外にも出られるようにすれば…
今回の私の質問で課題とした「ユネスコエコパークまでの交通アクセス」が飛躍的に改善されるでしょう。
静岡県にはリニア駅はできませんが…南の静岡市の市街地方面からの「縦の人の流れ」以上に、今は南アルプスに阻まれてあありえない山梨や長野方面からの「横の人流れ」が生まれ、観光客はもちろん、産業や文化の往来や交流が、飛躍的に活性化するはずです。
<今年9月に会派有志で実施したリニア工事の山梨工区と神奈川新駅の現場視察>