マムシに咬まれたら…
本日は、朝から県庁に出向いて…①コロナワクチン後遺症(=健康被害者)対策&救済制度について…と②県内のマムシ被害の実態と対策について…県の健康福祉部の担当者から多くの資料と共に、詳しく話を伺いました。
①に関しては、私にご要請いただいた市民の方への状況説明やいただいた資料や説明内容の精査等が必要ですので、また時期を改めてこのブログ等で、ご報告いたします。
②に関しては、先日牧之原市内の自宅玄関の土間に侵入したマムシに咬まれて緊急入院。尋常でない症状にもがき苦しみ、今も深刻な後遺症と闘っているМ君からの必死の要望に応えて、県の認識と対応を質しました。
М君は「市の公式LINEからサルやイノシシの出没情報や注意喚起の連絡は来るのに、毒ヘビのは来ない! 榛原病院が、この夏治療したマムシに咬まれた人は僕で4人目。行政の対応はおかしくないか?」と、症状の進行&回復状況の詳細と、鋭い私見や考察をSNSに投稿し続けていて…
それが自身のXでは、何と710万回も閲覧され、4.1万個の「いいね!」、リツイートは4951回も記録して…今や「マムシに噛まれて日本一有名になった男」を自称している地域№1のインフルエンサーなので(笑)…近所の県議としては、動かないわけにはいきませんでした!(((^^;)
M君は、私にも直接「山奥じゃなくて通学路にも面している我が家で起こったことは、登下校時の子どもたちや散歩中のお年寄りにも起こりえます。サルは逃げる。万が一噛まれても痛いだけだけど、マムシに咬まれたら命に関わる。早急に県の調査と対策を求めます」と訴えていました。
それから約2週間。M君の想像と鋭い指摘の通り、私の要請による県の調査の結果、静岡県内11カ所にある『救急救命救急センター』には今夏、合計44人もの県民がマムシに咬まれて、運び込まれていたことが、本日初めて判明しました!
この現実を受け、県薬事課では今後各センターや総合病院に医薬品を卸している薬問屋さんと連携して、24時間365日、血清等をすぐに納入・供給してもらえる体制をさらに徹底するそうです。
一方教育委員会でも、各市町教育委員会の学校安全教育担当者を対象とした研修会において、今回の調査結果を報告し、子どもたちに通学路などにおけるマムシをはじめとする有毒生物の見分け方や毒の怖さを教える対策を検討するそうです。
【マムシの咬症の発生時期と場所】
マムシによる咬症は4~10月に発生していて、特に7~8月に多い。春と秋は主に昼間に咬まれることが多く、夏は夕方から夜間の発生が増える。これに適した気温と関連しているが、同時に人の活動とも密接に関連している。
夏には夕方から夜間に活動することが多いが、妊娠しているメスは体温を上げて胎児の成長を促進するため日光浴に出てくる。また、雨の降った後には日光浴に出てくることが多い。
咬症の発生場所は、農村地域や山、その近辺が多く、農作業中やキノコ、山菜採り、草刈りの時に手の指を咬まれることが多い。子供が咬まれるケースもしばしばあり、昆虫採集の時には注意が必要である。また、捕まえようとして咬まれるケースもある。
夏には草履やサンダルなどを履くことが多くなるため、足を咬まれるケースが増える。夜間には昼間には出てこないような開けた場所にも出てくる。そのため郊外では駐車場や庭、時には道路などでも咬まれることがある。都市近郊でも池や河川付近の草むらに潜んでいることは多く、そのような草むらにぞうりで入ることで咬まれる場合もある。
【応急処置】
①ヘビに咬まれたらすぐにその場から離れ、できればヘビをを確認する。
②咬まれた傷(牙痕)を確認する。マムシでは約1cmの間隔で、針で刺したような小さな傷が2個見られる。片方の牙しか刺さらないこともあり、牙痕が1個の場合もある。
③マムシであれば腫れが拡がってくるため、指輪や腕時計を外す。
④市販の吸引器があれば毒を吸引し、なければ指で受傷部位を強くつまんで毒を出す。
⑤受傷部位をきれいに保ち、安静にして車などで医療機関へ行く。
⑥山などで咬まれ、医療機関まで遠い場合には、毒の吸収を遅らせるために、包帯など幅の広い布で受傷部位を含めて広く巻いて圧迫する。マムシ咬症でにると強く圧迫されて血液循環が悪くなるため、時々チェックして圧迫しすぎていないかを確認する。
【咬症の診断】
へビを見ても色彩変異などから判別できないことが多いが、ヘビを断定して連絡してくることもある。しかし、ヘビの判別が間違っていることもしばしばあり、患者自身が医療機関に間違った情報を与えることで不適切な治療をされる危険もある。多くの場合は、赤っぽいマムシをヤマカガシと間違えたり、アオダイショウの子ヘビをマムシと間違える場合である。
また、医療機関でも出血傾向の見られるマムシ咬症が、ヤマカガシ咬症と誤診される場合がある。咬症は年間 3000 件以上発生していると推定され、現在では死亡数は全国で5人ほどあるが、死亡に至らなくても重症例はかなり多い。マムシ咬症では、2日ほどで死亡することもあり、的確な診断が非常に重要である。
が、重症例はかなり多いと思われる。マムシ咬症では、2日ほどで死亡することもあるため、的確な診断が非常に重要である。
【マムシ咬症】
マムシの牙は非常に細く、咬まれても針で刺したようなチクッとした痛みだけで、毒が入っても腫れや痛みが
には拡がってこないことも多い。夜間や草むらで咬まれたときにはヘビを確認できないことも多く、しばしば虫刺さ
れと誤診される。
1cm ほどの間隔で2個の刺し傷があり、わずかでも腫れが拡がってくるようであればほぼマムシであると断定でき
る。しかし、時には牙痕が1つであったり、小さな切り傷としてみられる場合もあり、牙痕では診断できないことも
ある。このような場合には経過観察し、経時的に血液検査を行って診断する。
短時間ではどの程度進行するか診断できないので、わずかでも何らかの症状がみられれば、必ず経過観察をする。マムシ毒が皮下や筋肉内に注入されれば腫れと痛みを引き起こすが、腫れの拡がる速さはケースによってかなり異なり、1日でGrade Vまで進行することもあれば、3日ほどかかることもある。
ただし、腫れの拡がる速さと重症度とは関連していないことも多い。時には毒が血管に直接注入される場合がある。このような場合には、痛みや腫れは軽いが、毒の血小板凝集作用が強く働き、受傷後血小板が急激に減少し、1時間以内に1万以下まで減少することがある。その結果、出血斑や消化管出血など出血傾向が出現する。
このようなケースでは出血傾向と痛みや腫れの軽さから、しばしばヤマカガシ咬症と誤診される。しかし、鑑別診断の表に示されているように、血小板とフィブリノーゲンの減少パターンが異なるため、経時的な検査によって判別は容易にできる。
マムシ毒にはわずかに神経毒が含まれ、複視や斜視などを引き起こす。神経症状の出現は、ある程度多くの毒が入ったことを示しており、重症化示唆されると同時にヤマカガシ咬症との判別の指標となる。
時間の経過とともに横紋筋融解を起こし、その結果褐色尿が見られる。これは主にミオグロビンによるもので、急性腎不全の原因となる。血小板の顕著な減少、CPKや血清ミオグロビン、BUN、Cre、カリウムの顕著な上昇は、重症化する危険を示しているので注意が必要である。