「麦と兵隊」の歌の秘話
令和6年『牧之原市戦没者戦災死者追悼式』に、地元県議として出席しました。私の『追悼のことば』の全文は、以下の通りです!
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追悼のことば
本日ここに「令和六年度牧之原市戦没者戦災死者追悼式」が厳粛に執り行われることに際し、地元県議会議員として、先の大戦で亡くなられたすべての御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
今や我が国では、戦争の惨状を知る方々が、ほとんどいらっしゃらなくなった二十一世紀、令和の時代の一昨年二月に始まったロシアによるウクライナ侵略戦争が、終わりません。昨年十月に勃発したハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザへの侵攻も、エスカレートするばかりです。
残虐で理不尽な恐ろしい戦争や殺し合いが、世界中の誰もがはっきりと見える形で進行しているのに、世界のどの国も国際機関もそれを辞めさせられないという現実に、戦争を知らない日本人、そして地域を代表する政治家の一人として、深い憂慮と哀しみ、そしてやり場のない怒りを覚えます。
太平洋戦争の終戦から七十九年に渡り、私たち戦後世代が享受してきた平和と繁栄は、戦没者、戦災死者の方々の尊い犠牲の上に築かれてきました。だからこそ、わが国は二度と同じ過ちを犯してはなりません。
しかし一方で、どんなにわれわれが平和と不戦を望んでいても、一部の利己的で民主的とは言えない国々、そして超大国の思惑によっても、いつでも戦争は起こるのだという現実に胸が痛みます。
ちょうど一年前の昨年五月、被爆地広島で開催されたG7広島サミットでは、ウクライナ問題、中国、核軍縮・不拡散の三点がテーマとなりました。西側の主要七カ国の首脳は、全世界に対して「力による秩序の一方的変更は断固として認めない」との共同宣言を出しました。その後も戦争や紛争は続いていますが、今こそ国際社会が真剣に一致団結して、被爆国日本がイニシアチブをとって、一日も早い停戦と戦争終結に向けて事態が進展することを祈ります。
私はこれから、みなさまとともに、戦争をやめない愚かな人類の性(さが)と罪を認識し、この先の我が国のあり方を深く考えていきたいと思います。自分や家族や友人・知人が戦火に巻き込まれ、暴力と憎しみ、悲しみの連鎖の中に身を投げ出される悲しい歴史は、絶対に繰り返されてはなりません。
結びに、戦火に倒れたすべての御英霊のご冥福を心からお祈り申し上げ、御遺族、そして全市民のみなさまに「絶対に戦争のない令和の日本」を守り続けることをお誓いし、私の追悼のことばといたします。
令和六年五月二十一日
静岡県議会議員 大石健司
追悼式の終了後、終戦の1945年(昭20)の5月に、お父様を戦地で亡くされた当時6歳の石神斉さん(85)の講話がありました。私の亡父哲司と同年生まれ、学年は1つ上の竹馬の友です。
以前もこの場で、終戦直後のご家族の苦労話を語ってくださった石神さんは…「毎回、同じ内容の話じゃ悪いから…」と本日は、牧之原市(旧川崎町)が生んだ偉大な作詞家・藤田まさと先生(1908~1982)が1938年(昭13)に発表した著名な戦時歌謡『麦と兵隊』(作曲:大村能章)の知られざる秘話を教えてくださいました。
同年に出された同名の火野葦平の戦記小説を受けて、帝国陸軍報道部から歌謡化を依頼された藤田先生は、当局からの度重なる修正要求を受けて、最終的に次のような4番からなる戦意高揚の歌を書かれたことは有名です。
①徐州徐州と人馬は進む
徐州居良いか住み良いか
洒落た文句に振り返りゃ
御国訛りのおけさ節
髭が微笑む麦畑
②戦友(とも)を背にして
道無き道を行けば
戦野は夜の雨
済まぬ済まぬを背中に聞けば
馬鹿を言うなとまた進む
兵の歩みの頼もしさ
③腕を叩いて遥かな空を
仰ぐ瞳に雲が飛ぶ
遠く祖国を離れ来て
しみじみ知った祖国愛
戦友よ来て見よあの雲を
④行けど進めど麦また麦の
波の深さよ夜の寒さ
声を殺して黙々と
影を落して粛々と
兵は徐州へ前線へ
ところが、先生の死後、遺された机の引き出しから、軍部によって削除された5番の歌詞が発見されたというのです。
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⑤眼(まなこ)を開けば砲煙万里
鉄の炎焔(ほのお)の狂う中
夕陽ゆらゆら身に浴びて
ひとり平和の色染める
麦の静けさ 逞しさ
戦地に赴く勇ましい兵隊を鼓舞し、賞賛する歌の締めが「ひとり平和の色染める」ではダメだったというのです。まったく知らない話でした。
「藤田先生は戦時下で、1日も早い平和を祈念していたのです。私はこの歌を反戦歌として、後世に遺したいのです」という石神さんが、得意のハーモニカで演奏してくださる悲しい旋律の名曲を、会場の全員で唄い上げました。
<2003年10月に95歳でこの世を去った歌手の塩まさる氏が削除されていた5番までを歌っている「麦と兵隊」>
今日は朝から、吉田町で活動しました!(^-^)v
静岡県知事候補大村しんいち本人の訪問を期待していたらしいみなさんには、大変申し訳ない思いでいっぱいでしたが…
県内35市町を連日くまなく駆け巡っている大村さんの人柄や政策を、本人に成り代わり、熱く丁寧にお伝えさせていただきました!(^-^)/