消化不良の一般質問
今年度2回目の一般質問が終わりました。いつも以上に気合を入れて、論理構成を考えて、入念な準備をして臨んだつもりでしたが…最初の原稿に思いの丈を書き込んでしまったことで、必然的に文字数が増えすぎてしまい…25分の持ち時間をうまく使い切ることができませんでした。
加えて、知事や副知事、何人かの部長の不誠実で不明瞭な答弁を聞いて頭に血が上り、用意していた再質問や意見・要望の3分の1も言えませんでした。本当に残念です。それでも「よく頑張った」「川勝県政のダブルスタンダードな現状がわかったよ」などと優しい声を掛けてくださった多くのみなさまに、心から感謝いたします。
量が多いので、今晩は一番最初のリニア問題に関する質問と答弁の書き起こし文を掲載します。
1 知事の政治姿勢について
○リニア中央新幹線整備の対話に関する進捗と今後の対応
知事の政治姿勢についてのうち、リニア中央新幹線整備の対話に関する進捗と今後の対応について伺います。
昨年12月に、国の有識者会議が環境保全に関する報告書を取りまとめ、有識者会議での議論が一区切りしたことを受け、県は2月5日、令和元年9月に県専門部会においてJR東海と「引き続き対話をする事項」として取りまとめた47項目のうち、30 項目が未了である。つまり「解決していない」と公表しました。
そもそもこの47項目については、私が昨年6月の一般質問で取り上げたように、知事は昨年5月の建設促進期成同盟会総会で突如、「田代ダムの取水抑制と、燕沢の盛土360万立方メートルと藤島の要対策土10万立方メートルの2つの課題を合理的に解決すれば、何の支障もない!」と豪語しました。
私は、これを受け「以前は47項目を『全部やんなきゃいけない』って言ってた知事が、リニア沿線の東京から大阪の知事たちがいる中で『静岡県は大賛成です』『この3つが解決すれば、何の問題もありません』だなんて、なんで大見えを切っちゃったんですか」という再質問をしました。
すると知事のお答えは「トンネルを掘れば水が出ます。トンネルを掘れば発生土が出ます。ですからこれが一番大きな全てのものの原因になります。この2つの問題がほかの問題と全て関係しております。ですからこの2つの問題が解決できれば他の問題も自動的に解決できるというふうに私は考えております」でした。
それが何ですか。今になって、また「課題は47項目だ」と言い出した上に、未解決だという残り30項目(約64%)とこれまでの対話で出てきた論点をこねくり回して、それらをまた新たに9区分に分け、事態をさらに複雑化、混迷化させてしまいました。
県が「未解決だ」という課題の中には「田代ダム案の実施前に実行すべきこと」や「ボーリング調査の実測データを用いての再解析」等、今すぐJR東海にはできないことや、まだ行う必要のないと感じられる項目も含まれていますが…先日の県の会見では、新たに整理した「今後の主な対話項目」の全てが解決できない限り、着工は認めないことになりました。
生物の予測・評価について県が「実施すべき」と主張している調査や検証の項目は、日本全国や世界中のどこを探しても、大規模な鉄道や高速道路事業で実施された例のない綿密にして厳格な素晴らしい内容ですが、静岡県の行ったり、関わったりする他のインフラ事業で、同じ基準では絶対に実施されていません。私はそのことも昨年、三遠南信道路のトンネル工事への県の無関心ぶりを例に挙げて強く指摘しました。
知事はことあるごとに「南アルプスはユネスコエコパークである」と強調し、自然保護を重要性ばかりを力説しますが、エコパークとはそもそも自然と人の調和と共生を目的とした地域の呼称であり、その地域全てを人が開発できない聖域(サンクチュアリ)のことではありません。
静岡県が一方的に47項目を取りまとめてから、4年半余を要しても未だに36%程度の進捗率にとどまっていることについて、建設促進期成同盟会の副会長という立場でもある静岡県知事としてどう評価しているのでしょうか。
また、知事は残り1年4カ月あまりの任期中に今回新たに示した9つの解決すべき事項について、リニア中央新幹線を促進する立場から、区分ごとにいつ着手し、いつまでに終わらせるのかという具体的で明確な時間軸で、いくつ解決する決意を持っているのかを伺います。
そしてさらに、水資源に関わる看過できない問題も新たに露呈しました。新聞報道によれば、先月25日の大井川流域10市町の首長とJR東海・丹羽社長との意見交換会で「田代ダムでは2月から来年11月までの予定で、山梨県にある田代川第2発電所の設備更新工事に伴い、取水を止めている」ことが判明したのです。
意見交換会後、島田市の染谷市長は、意見交換会では流域市町の意見として「たとえ工事期間中にボーリングで水が山梨県側に流出しても、取水中止でそれ以上の水が大井川に戻されるのであれば、流れた分を後で返さなくてもいい」との10市町の総意をJR東海に伝えたそうです。
一方、知事は先月26日の記者会見でこのことを問われると「10市町あります。総意と言われているが、そこを1つ1つ確かめる必要もある。今、事務局で関係者にお聞きしている」と発言しています。1週間が経過しました。そこで改めて知事に伺います。大井川流域市町に確認した結果はどうであったのか明確にお答えください。
川勝知事: 大石健司議員にお答えいたします。私の政治姿勢についてであります。リニア中央新幹線整備の対話に関する進捗と今後の対応についてでありますが、まず、進捗に対する私の評価であります。
県は、令和元年9月に「引き続き対話を要する事項」として47項目を取りまとめ、JR東海との対話を進めてまいりました。これまでの対話では、「水資源」「生物多様性」「トンネル発生土」の分野により、進捗度合いに差が見られますが、総じて着実に進捗していると評価しております。
特に、「水資源」では、JR東海から示された田代ダム取水抑制案が、影響を回避する保全策として了解できる段階に至ったことなどにより、26項目中17項目、約7割が終了いたしました。今後の主な対話は、リスク管理とモニタリングの段階に移ることとなります。
一方、「生物多様性」及び「トンネル発生土」は、進捗しているものの、対話が終了した項目はありません。全て継続中です。今後は、国有識者会議に意見をいたしましたものの、反映されなかった生態系への影響の予測・評価などについて、対話を進めてまいります。今回整理いたしました「今後の主な対話項目」に基づき、既にJR東海と事務レベルでの意見交換を複数回行っております。準備が整い次第、速やかに県専門部会を開催いたします。
次に「今後の主な対話項目」を、いつまでに、いくつ解決する決意か、についての御質問であります。課題解決には、「水資源」の分野で、田代ダム取水抑制案が提案されましたように、事業者であるJR東海から、県民の皆様が理解し、かつ、納得できる環境保全策を示していただくことが大前提であります。その上で、県としましても、関係者と十分に連携し、速やかに対話を進めてまいります。
「いつまでに、いくつ解決できるか」は、JR東海の取組によるところも大きく、私ども県だけで、時期等を示すことは難しいと考えますが、これまでと同様、スピード感を持って、JR東海との対話を進めるなど、全力で取り組んでいく決意であります。
流域市町長さんとJR東海との意見交換会について、市町に確認した結果であります。大井川流域の市町の総意について、事務レベルで確認いたしましたところ、現時点で、9の市町から回答がございました。多くの市町の回答は、「山梨県側への流出量が、発電所の工事中、取水停止により大井川で増加する水量の範囲であれば」という前提条件を付けておられます。
その上で「流出する水を戻さなくても良い」とのことでした。また、「この件を県と協議する必要がある」という複数の意見がございました。さらに、「湧水量を戻さないという考えに反対はしない」という消極的意見もございました。意見交換会では、山梨県側への流出量や大井川での増水量の確認の具体的な方法等については、説明や議論はなかったとも伺っております。
加えて、山梨県側への流出量が、田代ダムの取水抑制を上回った場合、補償をどうするのか、更にまた、その場合の責任の所在はどこにあるのかといった、極めて重要な議論も無かったという印象を受けております。こうした点も含めて、大井川利水関係協議会やJR東海と、しっかりと対話をしてまいりたいと考えております。
<再質問>
「総意」について伺います。「10市町の事務レベルで確認したところ」とのことですが、島田市の染谷市長が「10市町の総意」と言ったのは、全市長、町長がいる前です。どうして事務レベルにもう一度確認して、一から話を聞かないといけないのか?
石川政策推進担当部長:
私ども、染谷市長が言っていた総意というのを報道を通じてお聞きしました。実態として、会議でどういうお話がされていたか、どこまでを含めて、どういう形で総意だったかというのは、丁寧に聞かないといけないと思いました。
そこで、我々としては、関係の流域10市町に対しまして、その真意を確認して、さきほど、知事から答弁申し上げたような意思が確認できたということでございます。
今朝の中日新聞の朝刊で、私が一昨年からずっと追いかけていた尊敬する26歳年下の後輩、故榛葉達也さん(享年32)を特集していただきました。
達也さん本人が生前、YouTubeや講演で積極的に自身の生きざまや熱く思いを自らの言葉で語っていたし、彼のバイタリティーと家族愛にあふれた言動は、テレビ静岡さんや第一テレビさんが密着取材して、何回もドキュメンタリーの特集にまとめてくれていたこともあったのでしょう。
これまでは、新聞の記事としてこれほど大きな扱いで報道されたことはありませんでした。そのことが、映像や音声ではなく、この世の中の森羅万象を文章で表現することが生きがいである私には、じれったいというか、ずっと残念に思っていました。
今の私がどんなに気合を入れて彼の思いや遺志をSNSやブログに書き連ねても、拡散力など知れたものだったからです。なので今回、中日新聞の小倉記者から「榛葉さんの闘病と〝生涯教師〟を貫いた講演活動を紹介したい」と相談を受けたことがうれしかったです。
早朝に連絡を受け、急いでコンビニで買い求めた小倉記者渾身の記事は、簡潔にして丁寧で、読者の心を揺さぶる素晴らしいものでした。そして、私はやっぱり「紙の新聞が好きなんだなあ~!」ということを実感しました。