残念だった愛媛県庁視察
静岡県議会自民改革会議の『地震・津波対策を考える議員連盟』の視察研修最終日は、愛媛県庁に伺いました。
静岡県の3倍以上、全国5位の1703kmもの海岸線を擁する愛媛県は、海溝型地震である南海トラフ巨大地震と安芸灘から伊予灘にかけてた豊後水道のプレート内地震、そして中央構造線断層帯内における内陸型地震の発生が想定されています。県内の20市町すべてで最大震度7~6強の揺れが発生する可能性があるとのことで、いざ大地震が来たら静岡県と同様、大変な被害が想定されると思いました。
一方で、県都・松山市など人口の大部分が瀬戸内海沿岸にあるため、全域が太平洋に面するお隣の高知県のような巨大津波は想定されていないためか、県内には津波避難タワーは1基もないと聞き、違和感を覚えました。外海につながる豊後水道の東海域の宇和海沿岸では、南海トラフ地震の想定津波は6.5~9.3m、最高津波水位は21.3mという説明だったので…質疑応答のしょっぱなに南伊豆の1市5町選出の加畑県議が「地域からの避難タワーや防潮堤の整備などの要望にはどう対応していますか? 観光面から賛否両論があると想いますが…」と質問したところ…「地元からは、特にそういった要望は上がっていません」という回答だったので、視察団一同、かなり驚きました。
台風などの高潮対策も兼ねたL1(100年に1度)地震に備える堤防整備の取り組みの現状等や東日本大震災の起こった2011年(平23)年度から県が積極的に取り組んだ『防災士要請講座開催事業』により、全国で2番目に多い2万1925人もの防災士を擁する等のソフト対策等、興味深いお話もたくさんありましたが…
私は、最大震度7が想定される西部の南予地方、佐田岬半島の伊方町で一昨年から営業運転を再開した四国電力伊方原子力発電所の現状や地震津波対策、そして県の原子力災害を想定した『広域避難計画』の説明だけでなく、29ページにも及ぶ配布資料に全く記述がないことに大きな疑問を感じて、質問させていただきました。その回答は…「何かを隠しているとか、何もしていないということではありません。説明者の人選のミスです。本日は詳しい人間が、ここに出席していないのでお答えできずに申し訳ございません」。
われわれは、さまざまな観点から、愛媛県の地震津波対策を伺うために訪問しているのに…県民に不安や懸念がないはずがない原子力発電所の対策や避難計画を最初から説明するつもりがなかったと判明し、びっくり&がっかりしました。どうやら愛媛県は、南海トラフ巨大地震の津波に対して、全海岸が太平洋沿岸にあるお隣の高知県のようには、深刻に受け止めていないようでした。
昨日からの首都圏での大雪の影響で、予約していた松山空港発の帰りの全日空機が欠航となってしまいました。
急きょ、電車に変更。松山駅から特急電車に乗って、生まれて初めて瀬戸大橋を渡り、岡山から新幹線ひかり号に乗り換えて、6時間半かけて静岡まで帰ってきました。とても有意義で、わすれられない視察研修になりました。