知事の迷走…極まれり
本日12日の一般質問に、10月末に私と一緒にリニア中央新幹線静岡工区のさまざまな現場を視察に出向いた中田次城県議が登壇し、川勝知事が10月10日の記者会見で豪語した「私がJRの意思決定者であれば、現在の川勝と膝を突き合わせて話し、その場で解決策を出せる自信はある」という発言について問い質しました。
中田県議:
知事は何らかの具体的な『こうあれば解決できるのだ!』ということが自分の頭の中によぎっていなければ、あんな発言はできない。これは「ルート変更ということを意識して言ったのか? 言っていないのか?それとも他に具体的な妙案があって言ったのか?
川勝知事:
私は、これまで一貫して、リニア中央新幹線の整備と大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を図るという基本姿勢でおりまして、この基本姿勢の下で、リニア問題と向き合ってまいりました。
御質問の定例記者会見における私の発言は、JR東海との対話を速やかに進めるために、意思決定者である丹羽社長には、強いリーダーシップを持って取り組んでいただきたいとの思いを述べたものであります。
意思決定者として、地域の意向を十分に理解、考慮し、スピード感を持って対話を進め、課題を着実に解決していくことが、事業推進と環境保全の両立につながるものと考えております。
丹羽社長とは、本年4月、就任の挨拶に来られた際に初めてお目に掛かり、本県と御縁があることや、科学的・工学的議論が大切であるという認識をお持ちの方であること、これを確認いたしまして、大変心強く思っております。
事業者であるJR東海さんには、地域の理解が得られ、納得できる環境保全策を示すことが求められています。県といたしましても、JR東海との対話を建設的に進め、県民の皆様の不安や懸念が払拭されるとともに、広く御理解をいただけるように努めてまいります。
現在のルートを前提にして促進期成同盟会に入っており、現在のルートを前提にして(県の)専門部会で議論してもらっているわけなので、ルート変更は念頭にございません。
…………
腹案が「ルート変更ではない」ということだけは明言したものの…「では何なのか?」という質問には答えずじまい。これに業を煮やした中田県議が…「私は知事が会見で言った解決策とは何なのかと聞いている。その場で解決ができると言った具体的なものはないじゃないですか? だとすれば、あの発言は撤回すべき。議会の議員の質問に対して正面から答えていない。知事の今の対応は、私の質問から逃げている」と声を荒げると…。
知事は「金子前社長とは膝詰めで話し合いましたけれども、全部はねつけられました。まだ丹羽社長とはお話ができておりません。意思決定者は私ではありません。したがって、私がそれを言うのは失礼であるというか、資格がないと思っています。ですから私1人で決められるものではないというのが結論でございます」と答えにならない答弁。
鈴木副議長から「具体的な解決策を!」と促されても…
「解決策を持っております。これは私が申し上げたところで意思決定する人間は私ではありませんので、それでは解決策になりません。ただ勝手なこと言ってるだけになりますから。話さないと解決策にはならないと思っております」と頑なに説明を拒みました。
この発言で、議場全体が再び不穏な空気が充満。「質問にまともに答えないのは議会軽視だ!」という声が高まったことで、昼休みに急遽、開催された議会運営委員会で、午後の一般質問終了後に中沢議長から改めて知事に「丁寧で明確な再答弁を求める」ということが決まる異例の事態となりました。
憮然とした顔で再々答弁に立った川勝知事は「現行ルートを前提にした上で、できるところから、つまり開通できる状況になった部分から開通させることが営業実績となり、解決策となると考えています」「できるところからやるということから、実験線の延伸・完成が1つの例示になります。(計画を)変えることは、社長にしかできません」
結局、工事が先行して進んでいる「山梨~神奈川間の部分開業」こそが、知事が胸を張って豪語した「解決策」なのだと強弁したのです。
はあ??? 何のこっちゃ??
静岡工区とは、まったく関係のない話ですよ! よその県の線路の部分開業が、どうして静岡工区の諸問題の即時解決策になり得るのでしょうか?
川勝知事の屁理屈も、ここに極まれり! もはや完全に詰んでいます。
今定例会の一般質問の最後に登壇した県議会の重鎮・杉山盛雄県議の「原子力発電所に関する知事の姿勢について」という大変興味深い質問をされましたので、ご紹介します。
【原子力発電所に関する知事の姿勢について】
杉山県議:
我が国の原子力発電は、東日本大震災のあと全発電所が停止となった。浜岡に関して言えば、当時の菅総理の停止要請から12年が経過しており、他の発電所も同様に長期間の停止が続いている。
この長期にわたる停止状態の課題は3点あると考える。
まず第1に、長期の停止状態の後、再稼働させるときに技術的な問題はないのか? 第2に、長期の停止が続く中、動かすための技術者の確保はできているのか? 第3に、民間企業の中部電力に対しどこまで費用負担をさせればよいのか? という点である。
これら3点の課題を解決するためには、エネルギー基本計画にも記載のとおり、原子力規制委員会の安全審査において安全性が確認され、合格した原発は早期に稼働させることであると考える。
知事は、これら3点の原子力発電の長期の停止状態における課題解決について、どのような認識を持っているのか伺う。
また、浜岡原発については9月に基準地震動が決まり、加えて基準津波も間もなく決まる見通しとのことであり、審査が進捗し合格に向けた道筋が引かれようとしている。
県は、浜岡原発の安全性を確認する防災・原子力学術会議を設置しており、この場における議論を加速させる必要があると思うが、今後のこの会議の進め方について伺う。
また、県民の安全を守るため広域避難計画の具体化が求められるが、その進捗がなかなか見られていない。現状の課題と実効性の高い計画の具体化の実現をいつまでに行うのか伺う。
川勝知事:
平成23年5月に、政府の要請により全号機が停止して12年が経ちますが、これまで3号機、4号機について原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が続いているところであります。
原子力発電所は停止中におきましても、使用済燃料の冷却、保管などに必要な設備の運転や安全設備の定期的な試運転などが必要なため、24時間体制で運転員を配置し、約600名の所員により運営されています。今後、原子力規制委員会による審査や検査により、運転する上での技術的な問題についても確認されていくと認識しております。
長期停止により、運転を経験していない所員が増え技術の伝承が課題であるとの認識を中部電力も持たれております。発電所敷地内にある運転シミュレータによる訓練や、国内外の運転中の原子力発電所で実地研修を行うなど、技術力の維持、向上に取り組んでいるとのことでございます。
安全対策工事の費用負担につきましては、安全の確保を最優先とする中、最終的には、経営判断として、中部電力が決定していくものと考えております。技術開発につきましては大変重要であると考えておりまして、日本原子力研究開発機構等において様々な研究開発が行われておりますが、中部電力も原子力安全技術研究所を設置し、大学や研究機関への公募研究も含めた、研究開発に取り組んでいます。
静岡県防災・原子力学術会議につきましては、原子力分科会をこれまでに22回開催いたしまして、浜岡原子力発電所の安全対策等について議論をしてまいりました。今回、基準地震動の審査がおおむね了承されたことから、これを議題とした地震・火山対策分科会との合同分科会を年明けに開催したいと考えております。今後も、年1回以上を基本に、国の審査状況に応じて随時開催し、安全性に関する議論を進めてまいります。
広域避難計画につきましては、県、関係市町の計画を策定し、原子力防災訓練での検証を重ねながら、実効性の向上に取り組んでおります。この中、要配慮者の避難対策の検討、冬季避難手段の確保等が課題となっておりますので、できるだけ早期にこれらの課題を解決し、具体的で実効性の高い計画の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
原子力発電所は、安全の確保が大前提であります。同時に持続可能な運転体制が不可欠でもあります。浜岡原子力発電所につきましては、新規制基準への適合性審査が継続中であり、この結果を踏まえた安全対策工事が必要です。また、燃料プールの空き容量が1008体分しかありません。
持続的な運転には、使用済燃料の処理方法の確立等の課題が残っております。これらの状況から、原子力規制委員会の審査に合格したとしても、再稼働できる状況にはないという認識を持っております。
県といたしましては、県民の皆様の安全、安心のため、国に厳正な審査を、中部電力に徹底した安全確保を引き続き求めてまいります。
<12日の一般質問>
【中田次城(58=自民改革会議)】
1 知事の政治姿勢について
(1)知事発言の重みについての認識
(2)10月10日に知事が会見で述べたリニア問題の解決策の具体的内容
(3)特別職の退職金受け取りについての知事の考え
2 盛土規制法の運用開始を見据えた県盛土条例の今後の運用改善について
3 伊豆高原メガソーラー変更計画における林地開発許可の判断について
4 伊東港ウオーターフロント再整備構想における県の役割について
【落合愼悟(74=自民改革会議)】
1 脱炭素社会の実現に向けた水素エネルギーの活用について
2 人手不足解消に向けた技術者の人材育成について
3 地域おこし協力隊の活動の充実と地域活性化について
4 マンションの適正な管理の推進について
5 静岡がんセンターの陽子線治療装置の今後について
6 全国学力・学習状況調査における静岡県の取組について
【佐野愛子(67=ふじのくに県民クラブ)】
1 教育現場の危機的状況について
(1)現場の声に応える教員の配置
(2)不登校児童生徒のための居場所づくり
2 困難を抱えた県民への支援充実について
(1)予期しない妊娠により不安を抱えた女性への支援
(2)子供や家庭のための組織の充実
3 企業におけるダイバーシティー経営の促進について
4 豊かな農山漁村の継承について
o ガストロノミーツーリズムの推進
5 住宅断熱化の促進について
【杉山盛雄(65=自民改革会議)】
1 原子力発電所に関する知事の姿勢について
2 リニア中央新幹線の超電導技術について
3 リニア中央新幹線開通後の東海道新幹線のダイヤについて
4 人口減少対策としての企業誘致の推進について