噛み合わない質疑応答
静岡県議会では本日も、一般質問が行われ…それぞれの議員が、県政の喫緊の課題について、知事や副知事、教育長、そして関係部局長にそれぞれが考える重要な質問をぶつけました。
私は真っ先に登壇した袋井市・森町選出の1期生議員の伊藤謙一県議(36=自民改革会議)の正義感あふれる理路整然とした質問に感心しました。
「川勝知事の失言や資質を問題視する話は、もういいいよ!」というご意見をよくいただきますが…マスコミも他のどなたも、ここまで詳しく議会での議論の詳細を掲載や投稿してはいないので…私はある意味、大きな使命感を持って、所期の目的の実現ために、紹介を続けさせていただきます。
伊藤県議の質問の概略は、以下の通りでした。
「これまで、多くの場面で知事は、知事心得五箇条を基に自らの職責を果たしていくという答弁をしている。しかし、この知事心得五箇条は抽象的で、制度や仕組みとして具現化されなければ、一切意味を持たないと個人的に感じている。ただ単に『今回は失敗しましたが次は頑張ります』と答えていることと変わりがないと思うが如何か?」
「今回の三島での文化拠点に関しての発言も、常時公人を謳うのであれば決まっていないことは一切口にするべきではなく、加えて個人のビジョンを語る事もリスクを考えるならば、事前に職員とよく協議した答弁内容を話する、もしくは発言内容に関して常に事実確認をする職員を配置し、過った発言があれば正してもらう必要があると考える」
「この知事心得五箇条について、あくまで理念や抽象的な個人の気持ちを自らに定めている中で、具体的にミスを防ぐ制度設計や自らへのガバナンスの強化を行ってきたのか、行ったのであれば、その取組事例を伺う」
「さらに、知事の果たすべき職責に関して伺う。県民の生命と財産を守るという公人としての職責と、選挙や政治活動の中で県民と約束した政治家としての職責があると考えるが、知事が常々言っている「職責を果たす」とは、具体的にどのようなことを指すのか」
これに対して、川勝知事の答弁(の全文)は、以下の通りでした。
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私の政治姿勢についてのご質問にお答えいたします。知事心得五箇条及び果たすべき職責についてでありますが、私は、辞職勧告決議案が可決されて以降、自らに「知事心得五箇条」を課し、強い気持ちで、自覚を強めて、かつ、それを実践してまいりました。
特に、「常時公人」「いついかなるときも公人である」ということを改めて強く意識した上で、公務に就いていない場合も、恥ずかしいことはしないと決して、常に不適切な発言などに陥ることがないように、自らを強く戒めております。
これと併せまして、職員には、私の誤った考えや行動について、躊躇なく諫言してくださるように求めてきたところであります。知事戦略会議、あるいは個別の協議の場などにおきまして、実際に様々な意見をもらってまいりました。
また、私は、先の9月県議会における、知事給与条例に対する附帯決議を重く受け止めまして、その後の幹部職員会議におきまして、諫言することの重要性とその実行を、改めて求めたところでございます。
次に、私の考える「職責」についてでありますが、私は、県民1人ひとりのお声に耳を傾け、現場主義に徹しておりますので、そうした場でも、色々な意見を聞くことがございます。人のため世のためになることであれば、その場でご一緒に考えながら決断をして、関係部局と諮り、決まったことはその問題を抱えている人にお伝えをして解決をしていくという、このように、県民幸福度の最大化に向けて、「誰1人取り残さない社会」の実現に向けて、全力で取り組んでまいる考えを持っております。この取組を積み重ねながら、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを着実に推進していくこと、これが、県民の皆様が私に、四年間の負託を託されました、応える道であるということで、これを職責と考えております。
引き続き、県議会から辞職勧告を突き付けられた身であることを肝に銘じておりまして、県民の皆様のために、知事としての職責を果たすという思いで県政運営に精励してまいりますので、県議会の皆様の御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
今申しましたとおり、心得五箇条というのは、これは心得でございまして、従いまして、もしそれにもとることがあれば、ご指摘なり、ご指弾がございますでしょう。そうしたものがないということでございまして、その心得を誠心誠意努めるというのと同じでありまして、良心の声を聞きながら、日々を送っているということでございます。
以上であります。
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なんとも、要領を得ないお得意のはぐらかし答弁でしたが…これに対しての伊藤県議の再質問が鋭かった!!
「知事心得五箇条を基として行っているガバナンスの最も大きなものは、次に不適切な発言をしたら辞職するということだと思いますが、きっちりと機能しているのかどうか、非常に不確かなものだと思っています。知事が不用意な発言をしないよう事前に予防するというより、発言をしてしまった後で「いかに整合性を合わせるか」ということを、知事や職員がやってるという認識です。このガバナンス自体、適正に機能しているかいうと、私はノーだと思いますが、知事の認識はいかがですか?
川勝知事:
「再質問…『知事心得五箇条』これの具体的なものは何かということと、このガバナンスに関するご質問いただきました。心得はやはり『心得』でございます。
ただですね。こちらで辞職勧告決議をいただきまして、附帯決議もございました。その附帯決議の内容を、幹部職員の職員会議で、1カ月に1回ございますので、そこでご披露申し上げまして、ぜひこれを守っていただきたいと、川勝に対する諫言があるならば、遠慮なく言ってくださいということを申し上げただけじゃなくて、この、いわゆる戦略会議ほか、知事室で様々なやりとりがございますが、その時にも繰り返しそのことを申し上げております。
それから、ガバナンスができてるかどうかということでございますが、『諫言』というのは、もちろんこれ、武士道の心得の一つであります。そのときには身分がありましたから、上の身分の方々に、下の者が言うのは大変勇気のいることです。
その勇気のいることを「しなくちゃいかん」というのが諫言であります。しかし、この、今の時代にこの本当にそれがふさわしいかどうかということにつきましては、私は、基本的に権限と責任はそれぞれみんな違いますけれども、お一人おひとり、主権者として対等であるという考えを持っております。
したがって、誰もが自由に、この意見が言えるという雰囲気を作るという。ガバナンスの私の方法は、誰もが自由に意見を言えるということでございます。したがいまして、実際上、改めて諫言というのではなくて、自由に川勝に、あるいはその、ものを言えるということが、実は、諫言の代わりになってると。従って、何か大きな諫言があったかどうかってことなると、ないに等しいと。つまり常に聞いているというか、常に腹蔵なく、職員が私と自由に会話ができる、そういう雰囲気が、この15年間にできあがってるという、これがガバナンスの実態でございます。
…………
議場から何度も「質問に答えてないよー!」というヤジ。。そして、議長からも「簡潔に答えてください!」と厳しい指導を受けながらも、知事は一方的に話し続けて、全く噛み合わない議論は終わりました。
左上から…リラとネロとカロ。全員、かなりのお年です。(^^;)
<11日の一般質問>
【伊藤謙一 (36=自民改革会議)】
1 子育て費用の負担軽減による少子化対策について
2 カーボンニュートラルの実現に向けた太陽光発電の普及について
3 浅羽海岸の砂浜を守る対策について
4 弁財天川における河口閉塞対策について
5 地方公共団体への公金納付のデジタル化に向けた取組について
6 知事の政治姿勢について
o 知事心得五箇条及び果たすべき職責
【田中照彦(56=ふじのくに県民クラブ)】
1 森林サービス産業の推進について
2 脱炭素社会の実現に向けた森林吸収源対策の推進について
3 停電防止のための予防伐採の推進について
4 子供の犯罪被害防止対策について
5 健康寿命の延伸に向けたフレイル予防について
6 外国人材の登用促進について
【良知駿一 (41=ふじのくに県民クラブ)】
1 浜名湖花博2024における来場促進の取組について
2 文化財のデジタルアーカイブ化について
3 これからの人とコンピューターが共存する社会に向けた探究学習の推進について
4 避難に資する情報の精度向上について
5 市町情報システムの標準化、共通化に対する県の支援について
6 スタートアップ企業の事業拡大に対する支援について
【良知淳行(58=自民改革会議)】
1 インドとの交流と地域外交の推進について
2 外国にルーツを持つ子供の活躍支援について
3 ふじのくに食と温泉文化フォーラムをはじめとしたICOIプロジェクトの成果
と今後の展開について
4 本県水産業を支える漁業者及び漁業協同組合への支援について
5 焼津市内の治水対策及び国道150号の冠水対策について
6 焼津市内の道路整備の進捗状況と今後の取組について