空港の盛土工事の説明会
富士山静岡空港の滑走路の先に、来年から5年間かけて高さ約70m、約30万立方メートルもの盛土を積み上げて造成される『滑走路端安全区域(Runway End Safety Area=RESA)』の地元説明会&現地視察会に地元の県議として参加しました。
10月に、空港関連を所管する県議会の文化観光委員会で、私は初めてこの件についての報告と説明を受け、衝撃を受けました。先輩県議からの鋭い質問には感銘しました。
その時の様子は…⇒こちら!!
委員会終了後には、担当の空港振興局空港管理課に対し…「熱海の土石流災害で、大量の盛土造成に対して全県民が不安視している今、地元住民やマスコミに対しても、丁寧な説明の場を設けてほしい」と強く要望しました。
ありがたいことに、担当者は即座に対応してくださり、本日から3週間、3日間にわたり、空港近隣の牧之原市、島田市、吉田町の希望する地区の住民を対象にした現地説明会を開催してくださることになったのです。本日は、空港隣接の地元中の地元・牧之原市坂部区と北隣の勝間田区の約70人の住民のみなさまがお集まりくださいました。
午前から3回に分けて実施された説明会は、坂部区民センターで約30分間、造成工事に至った詳しい事情と盛土工事の進め方と安全性等について、詳細な説明を受けた後、貸し切りの大型バスで現地に移動。通常は立ち入り禁止になっている強風吹き抜ける絶景の航空機の『進入路誘導灯橋梁』を歩いて渡って、盛土の造成予定地を天空から、じっくりと確認させていただきました。
県の担当課の対応も説明も、配られた資料の内容も素晴らしく、事前の予想以上の充実した視察となりました。その上で…だからこそ、ますます気になってきた今の県政の課題(ダブルスタンダード=二枚舌)について、触れたいと思います。
川勝知事や難波副知事はこれまで、公の会議や集会での挨拶や選挙中の演説などで、リニア中央新幹線のトンネル工事の大きな問題点について声高に指摘しています。その実例として「リニア工事による残土置き場が計画されている燕(つばくろ)沢には、熱海市の土石流を引き起こした70倍の盛土(約360万立方メートル)が積まれることになる。そして、大雨が降れば、この盛土が土石流となり、大井川を埋め尽くす」という過激な内容の発言を繰り返しています。
難波副知事は、こういった県の考えの裏付けとして「JR東海のリニア工事の設計は、JR独自の手引書による解析なので、想定以上の降雨や地震などに対する安全性の検討が、どこまで行われているか分かりません。情報が公開されていない以上、我々には検証ができないからです」と答弁しています。
一方、国や県の行う社会インフラの道路工事や空港整備事業などは…「国や国土交通省が、安全率を高く設定するとともに、その根拠が公開され、公の機関によって検証されてから始めるので大丈夫です」と発言しています。
しかし、今日はここには掲示しませんが…リニア新幹線工事の残土置き場工事については、JRによる設計根拠などの検討資料は公開されています。特に盛土の構造の設計に重要な集中豪雨等の降水確率に関しては、100年に1度と言われる「1時間あたり180㎜」の雨量で計算されていて、これは今回のRESA の盛土工事で県が想定している過去の実績から見込んだ「最大降雨量(1時間あたり90㎜)」の2倍なのです。
にもかかわらず、リニアの残土の盛土は県のトップが「大井川で土石流をもたらす」と断言し、このRESAの盛土工事では、担当課が「時間雨量90mmまでは盛土表面は流されません(実績)」「想定される東海地震(M7.9)では、盛土上部で変形が発生しますが、土石流とはなりません」と言い切っているのです。
今回の懇切丁寧な説明で、この空港の盛土工事の安全性については、私も参加者のみなさんも、かなり納得&安心はできました。だからこそ、私は(担当部課は違いますが…)JRの盛土工事が「熱海以上の土石流を引き起こす」という知事や副知事の主張の正確な根拠を、感情的で無責任な思いつきではない〝科学的・工学的な〟見地や数値から提示していただきたいと思います。
どうして、RESAは大丈夫なのに…「リニアの盛土はダメ! 危険!」という二重規範の論法が成り立つのか? 我々議会に対して明確に、明瞭に説明することを、強く要望していきます。