川勝知事がまた吠えたけど…
本日8月27日の毎日新聞13面の『オピニオン面』で、静岡県の川勝平太知事が『リニア新幹線の行方』と題された論文を寄稿しています。。新聞社の取材の受けて話した内容がまとめられたものではなく、またしても知事本人が執筆した文章です。
その内容は、いつもの〝川勝節〟というか、6月の知事選前後から徹頭徹尾主張されていたことや、7月21日の私の一般質問への答弁を焼き直した上で、今秋の参議院補選や衆院総選挙で、またまた対立することになる自民党への批判とファイティングポーズを示した形です。
7月の私の一般質問への答弁は…⇒こちら!!
静岡県を代表する最高権力者が、4選を果たしたご自身の勝利を商業マスコミ1社の土俵の上で改めて自画自賛というか、自説の正当性を〝これでもか!〟と主張されていることは「いかがなものか?」と思わないでもありませんが(笑)…昔から、どんな戦いも「勝てば官軍」ですから、その文章の論理的展開には、とやかく言うつもりはありいません。
だがしかし、寄稿文の中盤で、今回もまた例に挙げられている『富士山静岡空港の水問題』の荒唐無稽な決めつけには、地元県議…そして、今は亡き父の後継として、断固として異議を申し立てます。
静岡県も県知事もこれまでずっと、南アルプスでのJR東海のリニア新幹線トンネル工事によって「大井川の水が減少する可能性がある」と主張して、それを否定するJRに対し「減少しないという証拠とデータの提示」を求めているわけです。
当初は、非協力的だったJRもここ数年は危機感を募らせ、彼らの主張に沿ったデータや数値、計算式は適宜提出するようになりました。しかし、静岡県は「それは御社にとって都合のいい解釈ですよね?」「我々は〇〇の点が不十分だと思うし、このままでは、到底受け入れられない。住民の理解も得られません。しっかりとした再調査を行い、満足のいく数値を出し直してください」と突っぱねているわけです。正論です。
しかし、工事によって大井川の水が減るのかはわかりません。なぜならばまだ工事は始まっていないからです。JRはこれまでの知見と自社による調査と計算で「中下流域の水量減少はないものと考える」と公表しています。工事によって大井川の水が減るようなことが起これば、今や風前の灯火のリニア構想そのものが完全に消滅するでしょう。だからJRも必死だし、最初から「大井川が干上がる」ような予測はしていないし、そうならないように全力を尽くすでしょう。
一方、川勝知事によると、JRと有識者会議によって「リニア工事中はトンネル内に毎秒2トンの地下水が湧出する」という推測が示されたことを根拠に「水不足になれば、静岡空港は干上がる」「大井川の水の減少を伴う工事は認められない」と言い切ってしまっています。あたかも、最上流域のトンネル内の「毎秒2トンの減少」が、そのまま「中下流域全体の水の枯渇」であるかのように、鮮やかなイメージ操作を行って、しれっとしています。これは、絶対に看過できない詭弁です。
トンネル工事周辺の上流域から静岡空港まで引かれている上水道の取水地までに、いったいいくつの電力や治水のためのダムが存在し、どれだけの水が恒常的に存在し、統制され、渇水期には枯渇しているのか? 実際は、下流域の需要を大きく上回る供給量が確保されているのではないのか? さらには工事によってトンネル全体で湧出る毎秒2トンの地下水の何割が、そもそも大井川の川面や地下を流れる水になるのか?? 田代ダムから電力用に富士川へ毎秒5トンも流している表流水については、どうして問題視してこなかったのか?
こういった素朴な疑問に対し、県はいつも正面から答えません。「工事をすれば水がなくなる」とほぼ断定しているのに、自前の資料やデータを公表しません。なのに、工事をするJR側には「ありとあらゆる可能性を想定してください!」と厳しく要求しているのです。
私はこの話を、これまでも幾度となくいろんな場で説明してきましたが…聡明で、弁舌鋭く、さわやかな川勝知事の牙城は、ビクともしませんでした!(笑) 今回もそうでしょう。知事は知事で、秋の選挙を見据えて、今一度この問題をぶち上げて、県政&国政の大きな争点にする腹づもりだったのでしょう。。
しかし、稀代の策士・川勝知事が、今回ばかりはミスを犯しました!!
全国紙にこれだけ大きな寄稿文が掲載されたのに…インターネット版では毎日新聞の有料記事だったためか、ツイッターやFacebookなどのSNSでは、まったく話題にならず、検索しても何も出て来ないのです。本日、私が議会の控室で手にした静岡関連の新聞各紙の切り抜き記事のコピーの束の中にも、だれかの故意か過失か入っていませんでした。
というワケで…私1人は大騒ぎしていますが(笑)…この寄稿文のインパクトは限定的だと思っています。知事は、同じ文章を、県庁での定例会見で全マスコミを前に、読み上げながら配るべきだったのではないでしょうか??
残暑厳しい本日の午後…県議会のある県庁前の駿府城のお堀で、どことなく威厳のある年配のカラスとカメが、真剣な表情で何やら密談していました!(*^-^*)
選挙の話でもしていたのでしょうか? それともコロナ対策の話かな??( *´艸`)