静岡県の新提案について
静岡県は本日22日、県の中央新幹線対策本部長である難波副知事名で、国土交通省の上原鉄道局長宛に『「リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議」における今後の議論に対する提案について』という文書を送付しました。
その全文は、以下の通りです。
リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議(以下「有識者会議という)において、JR東海から新たなデータや資料が開示され、有識者会議における検討により、大井川水系の水循環の全体構造が明らかになり、かつ、事業による水循環への影響についても検討が深まっていることに感謝申し上げます。
有識者会議は、議論の内容をもって国土交通省がJR東海を指導することを設置の目的としており、JR東海と県等との対話が円滑に進み、最終的にはJR東海の説明が、地域住民をはじめとする社会に理解されるようなものになることを意図しているものと理解しています。よって、今後の有識者会議の議論の進展のためには、地域住民等の声を踏まえた、県及び流域市町の考え方や建設的な提案を適時に貴省にお伝えすることが重要であると考えています。
有識者会議における県及び流域市町の位置づけは、オブザーバーであり、「直接意見が言えない」立場ですが、令和2年5月15日に開催された第2回有識者会議で、県から「静岡県とJR東海の認識の違いに」等について説明する機会をいただきました。その後、令和2年8月13日には、第4回までの有識者会議の検討を踏まえ、貴職に対し、静岡県中央新幹線対策本部長名で、「JR東海の提出資料についての考察」を送付しました。
今般、第8回までの有識者会議の検討を踏まえ、有識者会議において確認されたこと、残された課題を県として整理を行った上で、今後の有識者会議の議論の進め方について、提案を取りまとめました。この提案により、有識者会議において大井川の水循環への影響評価について、議論がさらに進展し、その結果に基づき、JR東海が、地域住民等への社会の理解が得られるような分かりやすい説明を行うことを期待しています。
これは、昨日21日に上原鉄道局長が、牧之原市の杉本市長ら大井川流域の8市2町のトップと会談し、意見交換を行った際に各首長から…「国交省はJR寄りではなくもっと中立であるべき」「有識者会議はお墨付きを与えるためのものではない。あくまで地元の理解を得てから着工するように指示してほしい」といった要望が出たことを踏まえ、次回の有識者会議を前に〝行司役〟の国交省に、先手を打って釘を刺したというわけです。
「静岡県の考察と提案」と題された添付資料では…「有識者会議では(静岡県が提出した)課題47項目について検討をいただくことをお願いしているが、第8回までの有識者会議において確認されたこと、残された課題を整理し、今後の議論の進め方についての提案を、県の専門部会や流域市町、利水関係者等の意見を聞き、取りまとめた」として、10項目15ページにわたって、それぞれ「有識者会議の評価」「県の評価」「県の提案」を記載しています。
私は立場上、先ほどすべてに目を通しましたが…あまりの長文と回りくどい表現に疲れました。そして、「県はどのくらいのスパンで、国交省…最終的にはJR東海に対して、これらの独自提案への充分な回答や〝流域住民等の社会の理解を得られる説明〟を求めているのだろうか? と疑問に思いました。そもそも、このままで流域住民や県民多数の理解が得られる状況になる日が来るのでしょうか?
私は昨年9月の、危機管理くらし環境委員会で県に対し「リニアの開業の遅れについて、全国では静岡県が悪者になっている。JRの問題点をしっかりと世の中に発信すべきだ!」と最初に要求した張本人なんですが(笑)…
その私でも…このところの県当局によるあまりにも細かく、徹底的な追及姿勢には、違和感を感じてしまいます。
静岡県、いや川勝知事はこの際、これまでの「リニア建設自体には反対していません! 私はそもそも大推進論者だ!」という従来からの前口上を取り下げて…「時代に合わない、採算も取れない、水や環境に悪影響を与え、完成後の運行も危険が伴うリニア建設は中止すべきだ!」と表明するべきです。なぜ、しないのでしょうか? それとも、何か別の理由があるのでしょうか?
一方、流域市町の首長たちは…JRに対して、河川法に基づき、地元の理解を得るまでは県に工事の許可申請をしないよう求める要望書を、3月中にも提出する予定です。