
国(国土交通省)による『第6回リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議』を静岡県庁で、ウェブ傍聴しました。
本日の議事は…①前回会議の追加説明について ②トンネル掘削による大井川中下流域の地下水への影響について ③今後の進め方 …でした。
約2カ月ぶりに開かれた会議では、前回の第5回会議で、福岡捷二座長(中央大研究開発機構教授)がJR東海に求めた諸課題に対する情報公開と詳細なデータ解説が行われた上で、質疑応答が繰り返されました。
トンネル掘削による大井川中下流域の地下水への影響について、JR東海と静岡市がそれぞれ公表している2種類の解析データの比較検討が、JR東海によって示され…掘削による地下水位の低下の推定には大きな違いがあるものの「下流(南)に向かうにつれて小さくなる」。JRがヤード(作業場)を設けている「椹島(さわらじま)付近から下流では、水位の低下はほとんど見られない」という考察がありました。
さらに、JRは上流から吉田町・牧之原市を含む再下流域の流水や井戸水の分析結果を示し…「中下流域の地下水には、工事の行われる椹島より北の地下水は含まれていない」と結論付けました。
しかし、これには「上流の地下水が川に湧き出て、再び地下に浸透していることも十分考えられる」「水量の多い夏季(7~8月)のデータだけでなく渇水期の冬場にも同じ調査をするべきだ」という異論もでました。
それでも、会議の空気はJRの不誠実な対応で紛糾したこれまでのようなギスギスしたものではなく…
会議後、福岡座長は「中下流域の河川流量が維持されれば、掘削による地下水量への影響は極めて小さいと考えられる」との見解を示しました。
一方、JR東海は、事前に独自で作成し、会議に提出した資料の中で県境付近では「大規模な突発湧水が生じるリスク」の存在を認めました。同社はボーリング調査を追加で実施し、県や流域市町の不安解消に努める姿勢をいつになく真摯に説明しました。
次回の第7回会議(日時未定)では、工事によって静岡県外に流出する水量をJR側にあらためて推計させ上で、川勝知事が固執する〝全量戻し〟の方法を議論するそうです。

