水問題で怒る静岡県
午前9時から始まった静岡県中央新幹線環境保全連絡会議「地質構造・水資源専門部会」「生物多様性専門部会」の合同会議を、県庁でリモート傍聴しました。
どちらも、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事が及ぼすであろう諸問題について検討・協議する…静岡県が主宰している専門家会議です。
県の公式チャンネル『ふじのくにネットテレビ』でも生中継していたので自宅でも傍聴できたのですが…「県庁には、一般傍聴者も大勢来られるだろうし、県議会の所管委員会所属議員として、別室でのリモート傍聴だとしても現場にいた方がよいだろう」という判断だったのですが…
収音マイクの性能なのか、設置位置が悪いのか…音が割れてしまって、大きな会議室では出席者の発言がほとんど聞き取れませんでした。。仕方がないので、あわてて議員控室に移動して、自分のパソコンを開いて必死に聴き耳を立てました。
約2時間の会議のほとんどは、これまでの国の専門家会議の途中経過についての報告と検討でした。特に、JR東海が公表した「水収支解析モデル」について意見交換が行われました。特に16日の第4回専門家会議終了後に、座長が「大井川の中下流域の水利用に影響が出ないとの方向性が出た」と発言し、全国ニュースになった点について、詳しい検証が行われました。
県は、JR東海の主張の根拠になっている流量予測の問題点をまとめた文書を配布。流域から県外に流出するトンネル湧水量をJRが「過小に見積もっている」などと厳しく指摘しました。予測のために重要な土壌の透水係数(水の通り易さ)が〝推定値〟であること、断層の地下水位変化が考慮されていないこと、沢の流量変化が年間の平均値で示され、下流の水確保にはもっとも重要になる冬場の時期の影響が分かっていない点も疑問視しました。
オブザーバーの東大大学院の蔵治光一郎教授(森林水文学)は、JRが提出した資料の中で、大井川上流部の年間降水量を「4200ミリ」とした推測を「あまりにも過大。許容範囲を超えている」と猛批判。「流量予測の精度は低く、中下流域の水利用への影響は判断できない」と切り捨てました。国交省と県の会議の両方に所属している静岡大学の森下祐一客員教授(資源地質学)も「私は、JR東海から地質学の知見やデータに則った発言や解釈を聞いたことがない。こちらの要求したデータを出してくれれば、すぐにわかることばかりだ」とあきれ顔でした。
JR東海と国交省、そして自民党の特別委員会では…ここにきて、JRの主張や要望に沿った「トンネル工事着工GO」という流れができ始めていますが…静岡県は、現時点で一歩も譲る気はないことを改めて示した形になりました。