〇観光旅行…Xボランティア
避難所で、牧之原市の支援隊の仲間と800個のお昼のお弁当を配り終えた後、今回の豪雨で被災した人吉市相良町(まち)に行きました。
ウッチャンナンチャンの内村光良さんの「実家が床上浸水した」として話題になった球磨川沿いの相良町では、洪水から2週間たった今もまだ、尋常でない光景が広がっていました。
かつては肥後相良藩の末裔の大邸宅があったこの町で63年間暮らしてきた内田幸一さん(80)は、今月3日の洪水の際、廊下の隅に突っ張り棒を渡して作った棚の上によじ登りました。
しかし、どんどん水嵩は増し、棚の上で座って震える胸の位置(床上2.3m)まで来て、やっと止まりました。「床下まで水が来たことは何回かあったけど、こんなことが起こるなんて…。写真や日記、思い出の品もすべてダメになってしまった」と内田さんは、悔しさをこらえて話してくださいました。
内田さんの2つ下の奥様は、今回の水害で14人が亡くなった球磨村の養護施設から奇跡的に救出されましたが…寝たきりの要介護のため、これからの受入れ先が、なかなか見つかりません。熊本市と千葉県で警察官として活躍中の自慢の2人の息子さんの存在が、心の支えですが…「あいつらには仕事があるから、ここは私が片付けないと…」と気丈に誓っています。
新型コロナウイルス対策で、熊本県に限らず、被災したほとんどの県では、今回「県境を超えての」一般支援ボランティアの受け入れを拒否しています。人吉市も同じです。
さらに、昨日の通信社のカメラマンの陽性判明を受けて、人吉市の松岡市長は、本日「市の管理する施設への県外在住者の立ち入り禁止」を発表しました。私たちは、かろうじて「公的機関の方」という例外に入ってはいますが…
しかし、人吉市の災害ボランティアセンターを昨日訪れた熊本県内在住の市民ボランティアは250人程度。。本日は、市民から463件もの依頼がありながら、対応できたのは1割にも満たなかったようです。。残された全半壊家屋や汚泥や瓦礫、災害ゴミの量に比べ、作業する人力が決定的に足りていません。
久しぶりの晴天で、立ちくらみのする猛暑と土ぼこりの中、汗だくになって泥掻きをしていた熊本市からの男性ボランティアが、私の素性を知った途端に、色をなして言いました。
「この国もこの県も今、本当におかしなことになってます。コロナは怖いし、対策は必要。でも、あちこちでこんな大災害に見舞われて、人手が全然足りていないのに、県外から観光旅行は良くて、ボランティアがダメだなんて、どう考えても間違ってる。水害から2週間もたって、まだ泥もゴミもいっぱいなこの衛生状態で、コロナ以外の怖い病気が流行ったら、誰が責任を取るんですか?」と…。
私は、苦虫をかみ潰したような顔で、黙ることしかできませんでした。確かに、ここにきてずっと長袖、長ズボンに帽子に、マスクと手袋で作業する私は、短い首とメガネがカバーできない耳と、頬骨とおでこ(広いですがww…)の一部ぐらいしか、露出していないのです。
もしも、私が今、権限を持つ立場の政治家であれば…「世の中の流れとは、違う判断をしたかもしれないな?」と思います。そして、そう思えただけでも「人吉に来て、被災地の現状と苦境を知れてよかった」と感じています。