知事と次官の会談も物別れ
今日は、静岡県議会6月定例会の最終日でした。新型コロナウイルス対策として、先に議決済みの586億9600万円に加え、追加で上程された総額246億円(総額約832億円)の補正予算案等18の議案すべてを可決・承認して閉会しました。
最終日の246億円の財源は国庫支出金で、主な内訳は、病院の患者受け入れ体制強化に127億円。院内感染防止対策費に74億円。これで今年度の新型コロナ対策の県の補正予算は、総額約1118億円となりました。
閉会後、県庁の自室で、最近の新聞の切り抜きを読んでいたら…ちょっとビックリ!
先日の常任委員会で、静岡新聞に大きく載った「静岡県がどんどん悪者に…」とは、違う場面での私の発言が、別の新聞でも記事の締めに使われていました!!
一連の質問の取っ掛かりとして尋ねた部分だったので…自分では、そんなに重要だと意識していなかった問いでした! 毎日新聞さん、ありがとうございました!
静岡県がJR東海に改めて「現時点ではリニア中央新幹線の『ヤード整備(事前準備)工事』は認めない」と返答したことを受けて…本来は〝行司役〟の国土交通省の藤田耕三事務次官が夕方、静岡県庁まで「県に建設容認」を〝提案〟にやってきました。
当初は、川勝知事との面談の冒頭だけ、マスコミ限定で公開とされていましたが…静岡県の意向が通り、Youtubeや県のHPで17時からリアルタイム配信されました。
予定を30分もオーバーした会談は…大方の予想通り、川勝知事が最後まで「NO!」を貫き、物別れに終わりました。
国土交通省の事務方トップの藤田事務次官が、饒舌な川勝知事のペースには乗らず…終始冷静に繰り返したJRの意向を踏まえた〝提案〟は以下の通りでした。
①有識者会議の結論が出るまでは、JRにはトンネル本体工事には入らせない。
②県は「自然環境保全協定」の締結に向け、速やかに動いてほしい。
③JRには「水への影響が軽微」と認められる範囲で坑口整備工事等を認めるが、仮に水への影響が判明した場合には工事内容を変更させる。
藤田事務次官は川勝知事がこだわる、過去の経緯や双方のボタンの掛け違いには重きを置かず、徹底して「現状からの打開を図りたい」という〝現実論〟を前面に出して、意見を述べ続けました。
藤田次官:「水の話は、大事だということ、かけがえのないものであるということは我々も十分理解しているし、それが前提だと思っています。ただ『ダメだ』と言われても先に進めない。具体的に何が心配なのか、それに対してどういう対応がありうるのかと、こういう対話をしてないと、なかなか一致点に至らないだろうと思います。色んなリスクがある、厳しい状況がある中で、安全の確保をしながら施工することは可能だと思う」
一方。川勝知事は、これまでのJR東海の数々の不誠実な姿勢や有識者会議の全面公開等の〝約束〟を守らない国交省の対応を厳しく批判。「信頼関係が損なわれている以上、一致点を見出す状況にはない」と突っぱねました。
川勝知事:「工事はできる状態ではないでしょう。『有識者会議の結論が出るまでは(本体工事は)しない』、というのをわざわざ条件にしないでください! それは当たり前のことですよ。危機管理あるいはリスクに対する予想ですね、こうしたものについて徹底的に議論した上で工事に入るべきだということです」
この会談をどちらの立場から観たかによって評価は分かれると思いますが…知事の感情的な挑発に乗ることなく、最後まで低姿勢ながら自説を貫いた藤田次官の立ち居振る舞いに、一日の長があったかな? と個人的には感じました。
川勝知事は、周辺10市町との連携も強調し、さまざまな具体例を挙げて次官をやり込めることに熱心でしたが、その使命感、責任感がややもすると、上から目線の説教に聞こえ、事情を知らない視聴者や国民には、不快感を与えたのではないか? と心配になりました。
メディアの伝え方、長いセンテンスのコメントの切り取り方で、またしても、静岡県の〝唯我独尊〟ぶりを国や他都県から批判されるのではないかな? と不安です。