緊急事態宣言の解除
政府は本日25日夜、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を〝全面解除〟しました。継続中だった北海道と首都圏の東京、埼玉、千葉、神奈川の計5都道県を対象から外したのです。
安倍首相は記者会見し、外出やイベントを含めたあらゆる社会経済活動を段階的に緩和する方針を示しました。「わずか1カ月半で流行をほぼ収束させることができた」と成果を強調する一方で、再流行に備え、医療体制の充実に2兆円の予算を積み増すことを表明しました。
安倍首相は宣言解除の理由を、「全国の新規の感染者は50人を下回り、一時は1万人近くいた入院患者も2000人を切りました。世界的にも極めて厳しく定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断しました」と胸を張りました。
本当にそうでしょうか? 私はここ最近の全国的な新規感染者数の劇的な減少と反比例するような、毎日の死者数の多さが気になってたまりません。確かに、本日は東京都で8人、北海道で3人、神奈川県1人の感染と、全国でわずか21人の感染者確認にとどまりました。しかし一方で、全国の本日1日の死者は…14人でした。
このところ日本政府の自画自賛を始め、内外のマスコミや識者から、日本の死亡者の数が欧米に比べて少ないことで「日本の新型コロナ対策は優れていた」「批判はあったが結果的には成功した」という好意的な論調が見受けられます。
しかしながら…もともとアジア諸国では欧米諸国に比べて「感染者数も死亡者数も、圧倒的に少ない」という事実があります。アジア地域全体の衛生状態や医療水準が、欧米より素晴らしいということは客観的に見てありませんから…これは単に、アジア人の潜在的な免疫力が欧米人より高いか、文化的に挨拶のキスやハグ、握手も少ないアジア各国では、欧米に比べて人と人との濃厚接触が少ないからなのでは? と私は想っています。
そんな死亡者が少ないアジア諸国の中で、人口10万人当たりに換算した死亡者数を比較すると…なんと日本(0.56人)は、フィリピン(0.77人)に次いで2番目に多いのです。中国は0.32人、韓国は0.51人。台湾は、実に0.03人ですから…安部首相の言うように、日本の対策や医療体制が優れているとは、とても言えないのではないでしょうか??
医学的な対策は成功していたとしても…わが国の経済的な対策は目を覆いたくなるような惨状です。特別給付金の話は、右往左往の末5月にようやく決まったものの全国民への支給はいつになるかはわかりません。雇用調整助成金もGW中の休業要請協力金も同じですし、アベノマスクは、まだ届いていません。
今回も「政治家のお前が言うな!」という御批判は甘んじて受け止めます。しかし、経済的には東日本大震災やリーマンショック以上の危機、非常事態といえる今、日本の政治は完全に行き詰まり、国民の信頼を完全に失いつつあります。
緊急事態宣言下の密室で、御用記者たちと賭け麻雀に興じていた東京高検の黒川弘務・前検事長(63=22日付で辞職)は、本当に『訓告』という何の懲戒にもならない軽微な注意だけで放免され、6000万円とも7000万円ともされる退職金は、やっぱり満額支給されるそうです。
このままで、日本は本当にいいのでしょうか?