稀勢の里がんばれ!
輪島、北の湖時代からの大相撲ファンです。小6の時のクラブ活動は相撲でした。体が大きかったので1年間負けなしで卒業しました。
大学1年の時、小錦が登場し、破竹の快進撃で〝黒船来襲〟と騒がれましたが…アパートにテレビを買う余裕がなく、悔しい思いをしました。
中南米を放浪していた時に、旅先で出会った日本人旅行者から「横綱の双羽黒が不祥事を起こして、優勝未経験のまま引退した」と聞き、とても驚きました。当時はスマホどころかパソコンもGoogleもYahoo!ニュースもなく、日本の情報から隔絶されていました。
2留してやっと大学を卒業し、普通の企業に就職しましたが、水が合わずに2年で退職。スポーツ新聞社に潜り込んだ時は、若貴人気の頂点で、空前の相撲ブームが到来していました。新米の私は、もっぱら敵役の曙や武蔵丸の取材を命じられ、鬢付け油の匂いが漂う国技館や稽古場を駆け回りました。
正式な大相撲担当には一度もなりませんでしたが、事件や騒動のたびに駆り出された相撲界の取材を通じて、純粋なプロスポーツの枠組みにとどまらず、興行、経済、政治、村社会…あらゆることを勉強させてもらいました。
大相撲九州場所4日目で、初日から3連敗中だった横綱稀勢の里が、行司差し違えで敗れて4連敗を喫し、いよいよ瀬戸際に追い込まれました。左大胸筋負傷などで昨年夏場所から8場所連続で休場。進退を懸けた先場所は10勝を挙げて踏みとどまりましたが…白鵬、鶴竜の休場で、一人横綱として優勝を誓って臨んだ1年納めの場所で悪夢が待っていました。
横綱の初日から4連敗(不戦敗を除く)は1931年(昭6)1月場所の宮城山以来87年ぶりだとか。。いまだかつて見たこともない尋常でない事態。いくら負けても番付の落ちない横綱として屈辱的な記録が並ぶ不名誉な状況に…今、稀勢の里は1人で耐えています。私なんかとはまったく比較にならないすさまじい重圧に、じっと耐えているのです。
今から、また休場しても窮地からは逃げられません。逆に、いよいよ次の初場所に進退がかかります。角界にも世間にも「いくらなんでも、もう潮時だよ!」という空気もあります。見るからに優しそうで気の弱そうな32歳の若者は早晩、重大な決断を迫られることでしょう。
それでも、私は稀勢の里を応援しています。1度しかない人生です。自分が納得するまで、最後の最後に燃え尽きるまで頑張ってほしいと祈っています。