諸行無常と温故知新
私の生まれるずっと、ずっと前から、我が家の中庭に鎮座していた夏みかんの老木が、今年の異常気象で完全に枯れてしまいました。
諸行無常とはいえ、とても残念です。幼いころには友達とよじ登って遊んだり、セミを捕ったり、冬にもたわわに実っていた果実から母がハチミツ入りの温かい夏みかんジュースを作ってくれたり…思い出は尽きません。寂しいです。
ところで「諸行無常」とは…「この世に存在するすべての物事は、同じ状態を保つことなく移り変わり、永久不変なものはない」という意味ですが、平家物語の書き出しの「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」という一節から伝わってくるように…一般的には「変わってしまうことへの無念さや悲しみ」「失ってしまったものへの未練や追憶」といった負の感情が、大部分を占めてしまいがちです。
しかし、興味を持って調べてみると、お釈迦様は「人々の『いつまでも変わらない・変わってほしくない』ことにこだわりすぎる心が〝苦しみ〟を生む原因である」と説かれていました。つまり、この世の中のすべてのモノは「いつかは必ず壊れたり、なくなってしまうんだから(…しょんないじゃん!)」と肯定的にとらえれば、暗かった目の前が明るくなるような気がします。
「諸行無常だなあ…」と聞くと、何だか悲しくなりますが…英語では「Everything is changing(万物は変化している)」と訳すそうです。当たり前ですね!? 時代や環境に応じて、人も社会もシステムも前向きに、積極的に変わっていくことが大切ですね?
もちろん〝温故知新〟の姿勢だけは、忘れずに!
※温故知新 古きをたずねて新しきを知る。昔の事を調べて、そこから新しい知識や見解を得ること。先人の知恵に学ぶこと。