八丸醤油の山桃の木
何という景色!?
そして…何という歴史遺産!?
曾祖母の故郷・須々木に来るたびにずっと不思議に思っていた謎が、本日ついに氷解しました!!
【八丸醤油の山桃の木】……須々木区のメーンストリートを南西に下って行くと…途中にある橋の上で、あなたは衝撃の光景を目撃することになります。
川に側壁の古い石垣の中から、ニョキッと川をまたぐように生えている大きな山桃の木が目に入ります。。
「どうして川面に並行して??」「どうして、木を避けるように石垣が築かれているの??」……誰もが不思議でたまらなくなります!! なるでしょ??(笑)
この木は、石垣西側の『八丸醤油店』(現社名:ハチマル)の敷地内から川に突き出て育った古木なのです。そして、そもそもこの石垣は、川の護岸のためではなく、醤油店の建物を支えていた基礎部分だったのです。
1847年(弘化4)創業のハチマルの旧醸造所は、近年まで現存していたのですが…2009年(平21)8月11日の『駿河湾地震』で、敷地内の巨大な煙突が大きく破損。撤去のためのクレーン車を進入させるために、川沿いの建物も取り壊してしまったのだそうです。
というわけで、今でこそ川の縁にポツンと生えているように見えるこの山桃は…なんとハチマルの社内に飾られている明治時代の銅版画にも描かれている超貴重な木なのです。フォルム(形状)といい歴史といい、市の天然記念物だったとしてもまったく異存のないとんでもなくスゴい木なのですよ!!
「私の子どものころから、ずっとこんな感じだったよ。昔は実も食べたっけ。今は川に落ちちゃうだけだけどね」と1847年(弘化4)創業のハチマルの現当主・鈴木義弘さん(68)は懐かしそうにお話くださいました。
こういう面白い話には目がない牧之原グリーンティー・カップ2018の実行委員長(笑)が、すぐさまいろいろ調べたところ…この見事な銅版画は、明治25年(1892)4月に東京・浅草の精行舎が刊行した『日本博覧図静岡県初編』に掲載されていた県内の有名な神社仏閣、商家、名家の版画228枚のうちの1枚と判明しました。
当時の八丸醤油は、三代目鈴木八郎左衛門の才覚により、静岡県で三本の指に入る大きな醤油店として県下のみならず、全国に知られていたそうです。幸い既に版画の著作権は切れており、国立国会図書館のデータベースでも、自由に閲覧が可能となっていましたので、この場でもご紹介できました。
しかし、それにしても三代目八郎左衛門さんは、どうして川の側壁から茂った木を伐採しなかったのでしょう? そしておそらく初代か、二代目の八郎左衛門さんは、わざわざ幹を避けて石垣を築いたのでしょうか?
「うーん。それはやっぱり、あるがままの自然を大切にする鈴木家の伝統なんだろうな。人の都合で、木を切ったら罰が当たるよね?」。世が世なら「五代目鈴木八郎左衛門」だった義弘さんは、穏やかな美声で偉大な祖父の思いを代弁してくださいました。
今、世界中に生きているすべての人間よりも長生きな1本の不思議な山桃をきっかけに明らかになった数奇な〝牧之原市の歴史秘話ヒストリア〟。あなたもどうか、ご自身の目でご確認、ご鑑賞ください!!
『牧之原グリーンティー・カップ2018』開幕までちょうど1カ月となる本日11日、今年で開港9周年を迎える『富士山静岡空港株式会社』様からも『ご後援』をいただきました!!
感激です!