世界一の湖と友情
グァテマラ人が「世界で一番美しい湖」と胸を張るアティトラン湖の前にあるパナハチェルに、30年前のホームステイ先の家族に連れて来てもらいました。(もちろん、泊めてもらってもいますww)
標高1560㍍にある淡水の火山湖で、表面積は125平方㌔と、牧之原市(111.7平方㌔)より広くて、浜名湖(65平方㌔)の約2倍! 水深は320㍍もあります。
広大な美しい湖の南側には、サン・ペドロ山(3020㍍)、トリマン山(3158㍍)、アティトラン山(3537㍍)の3つの3000㍍超の活火山が、そびえ立っているのは圧巻の一言!
一番高いアティトラン山は、パナハチェルからでは山影が、手前のトリマン山とかぶってしまいほとんど見えませんが…富士山型の2つの火山が並んだ雄大な姿は、感動的です! 富士五湖の反対側で生まれ育った私でさえ、目を丸くして息を飲み…何故か、ただただ「すみませんです!」と謝りたくなるほどです!(笑)
31年前にバックパッカーとして1人でここに来た時は「知る人ぞ知る秘境」といった風情で、建物も観光客もまばらだったのですが…IT社会とSNS時代の到来で、今や芦ノ湖もびっくりの大大大観光地に変貌し、ものスゴい雑踏と活気に満ちた都市になっていました。
かつては数隻だった湖上の船も、定期船やボートがひっきりなしに行き来していて…船着き場の周辺はレストランや露店が立ち並び「よく、まだこんなに綺麗な水質が維持できているなあ」と感心してしまいました。でも、この先いつまで続くかは、かなり心配になりました。
330ケツァール(約5800円)でボートを貸しきって、離れた場所にある村を訪れたり、格安のレストランを探してグァテマラ流のステーキや焼き鳥に舌鼓を打ちました。先住民族の色鮮やかな手工芸で作られたシャツやサンダルなどを購入しました。
日本では、今でもほとんど知られていないこのスゴい湖…みなさんも、いつかは訪れてみてください! 湖で獲れる鯉に似た魚のフライ定食も美味しそうですよ!
夕方にケツァルテナンゴに帰ってくると…やはり30年前に知り合って、数年前にFacebookでつながったデボラさんから夕食のご招待の電話がありました。
彼女は大学卒業後、市内で中華料理店を営む中国からの移民2世の男性と結婚。。3人の子どもを育てながら、持ち前の商才を生かして事業を拡大させ、今では市の内外で4店を運営する実業家として大成功を収めていました。
30年ぶりにご厄介になっているホセ・リノさんご夫妻とわれわれ3人への豪華な中華料理のフルコースは、もちろんすべてご招待!! 手土産にグァテマラの最高級のコーヒーとラム酒までいただいた私は、ありがたいやら申し訳ないやら…困惑するばかり。。
「本当にありがとうございます! でも、今の私にはこの恩をお返しする術がありません! 30年前のほんの短い期間だけ、勝手にこの市に勉強をしに来ただけの男に、どうしてみなさんはここまで優しくしてくださるのですか?」と問い掛けながら、涙が止まらなくなりました。
「ケンジ! それはあなたが30年前、私たちの心に、素晴らしい親愛の種を蒔いてくれたからです。。その種が30年かけて大きな木に育ち、実をつけたんです。だから、なんのためらいも要りません。本当に帰ってきてくれたことだけで、うれしいんです。どうか、私たちの感謝の気持ちを受け取ってください!」。
「人と人との友情や絆に国境などない」ことを改めて確信した、最高のディナーとなりました。