数百年の伝統文化を堪能
今日は、菅山区菅ヶ谷に数百年前から伝承されている『一幡神社の御榊(おさかき)神事』に、生まれて初めて伺いました。毎年行きたいと思っていたお祭りですが、今回ついに実現しました!!
初めての取材だったので…まずは1038年(長暦2)創建の一幡神社に参拝し、周辺を探索したのですが、まったく神事をしている様子がなく、通りすがりのおばあさんに「あの~御榊神事はどこで??」と尋ねたところ、そこから2㌔も西のYさん宅だと教えてくださいました。慌てて飛んでいき、ご自宅の庭で、地域のみなさんと神事の準備中だったYさんに見学と撮影の許可をいただきました。
何から何まで珍しく、いろいろ取材を進めるうちに…優しく丁寧に教えてくださったYさんの奥さまが、私の家の近所のご出身で、妹さんは、小中高の同級生だったことが判明しました。驚いていると台所の方からその妹さんが現われました!! さらにYさんのきれいな娘さんが後ろから現れて…「私を覚えてますか?」と話しかけてきてびっくり。こちらは中学の同級生のI君のレストランで働いている〝看板娘〟でした。「世界は広いし、隣町にも知らない祭りや風習も多いけど…やっぱり世間は狭いし、人の縁は不思議だなあ~」という余談です!(笑)
さてさて、古来この時期の3日間に渡って行われるこの御榊神事は『二十八苗(みょう)』と呼ばれる28軒の家が、交替で祭りを執り行います。
二十八苗は代々決まっていて、28年に1回『本苗(ほんみょう)』という祭当番が回ってくるわけですが…ご多分に漏れず、近年の過疎化や少子化で現存するのは22、3軒。。今年のYさんは1993年(平5)以来、25年ぶりの本苗でした。
本苗は、前年の本苗から受け取った「御本飯(ごほんぱん)」という餅を賽の目に切って榊の葉の上に並べ、竹のすのこに包んだ『御榊様(おさかきさま)』を神社境内(昔は自宅)の栗の木と藁で作った『御仮屋(おかりや)』に安置し、祭りまでの1年間、静かに慎んだ生活を送ります。穢れを避けるため、家長は1年間、お葬式にも出られないそうです。
それにより、御神体に宿る霊力『稲魂(いなだま)』が増幅され、豊作をもたらすと考えられているそうです。祭り2日目の本日は、神饌に使われる新しい8升もの大量の餅(御本飯)や氏子に配られる1000枚近い牛舌の形の餅を昔ながらの作法に則り、若い衆7人でつき上げました。総量は、しめて25升!! 本苗を務めるのは、経済的にも大変です!!
明日の最終日には、諸道具や御榊様を持った行列が一幡神社へと向かい、御榊様を開いて氏子や参拝者に餅を配ります。神饌や諸道具は来年の本苗が引き継ぎ、新しい御榊様を作ります。
類似する行事は全国でも数えるほどしかない極めて珍しい神事だそうで、静岡県の無形民俗文化財に指定されています。
牧之原市内でも他地区の市民には、ほとんど知られていない奇祭ですが…かけがえのない貴重な伝統文化として、私は大切に守り続けていただきたいし、そのために自分ができることは、何でも協力したいと思っています。
夜には、中里区蛭ヶ谷(ひるがや)の蛭児神社に来ました。なんと800年以上前から伝わる奇祭『蛭ヶ谷の田遊び』に行きました。昨年はインフルエンザで無念の不参加でしたので、こちらは2年ぶりの取材となりました。何度見ても感動します。今回は最後の演目までじっくりと観賞させていただきました!
毎回書きますが…6年前に国の『重要無形民俗文化財』に指定されたこの祭には、雅楽の楽器の伴奏やお囃子がありません! 煌々と燃えるかがり火の前で、粛々と…そして次々と、5時間以上も続く、古式ゆかしき作法の舞や所作は幻想的で、感動的でした!!
牧之原市って、本当に本当にステキで魅力的だということを今日も再確認できました!!
改めて叫びたくなる「Makinohara LOVE」