ブーメラン台風を振り返る
前代未聞の不思議な台風10号が、本日午後6時前、岩手県の大船渡市付近に上陸した後、北東北を縦走し、深夜に津軽海峡に抜けました。
今回も直撃は免れた牧之原市ですが…未明から明け方にかけて、大変な豪雨の降った時間帯がありました。巨大な台風が影響を与える雨雲の範囲と量はすさまじく、「台風本体が遠くにあるからといって絶対に安心できない!」という事実を改めて再確認しました。
テレビや新聞、ネットでもさんざん報道されていましたが…東北の太平洋側に台風が上陸するのは、気象庁が統計を取り始めた1951年以降で初めての〝珍事〟だったそうです。ちなみに日本海側には過去3回上陸したことがあるそうです。この場合の「上陸」とは、台風の中心が日本列島の沿岸に達したことをいうそうです。
普通、台風は日本の南西の海上から北上した後、偏西風に乗って東進していきますので…これまでは九州の西の海上を北上し、対馬海峡付近から右折して日本海を進み秋田や北海道西岸付近に上陸する以外、「東北に上陸する可能性はない」と考えられていたそうです。ところが。今年は例年と比べ、太平洋高気圧が日本の東側にずれていて、大陸側にも別の高気圧が居座っていた。偏西風もまだ北にいて、台風を東に運ばないどころか東の高気圧をせき止める形に…。
これにより、日本の南海上に、2、3年に1度の頻度で誕生する直径約2500㌔もある『モンスーン渦』という超巨大な低気圧が発生。南の縁から東の縁にかけて活発な雲域を伴い、渦の中から9号、10号、11号と次々と台風が誕生。一番南で生まれた10号は9号、11号に進路を遮られて、行き場所がなくなって…当初は八丈島の南の海上から押し出される形でじりじりと沖縄の南西にまで進んでいたのです。
そして、ついに先週関東から北海道に抜けた11号の後を追いかけるように今回、ブーメランのように戻ってきたわけですが、それでも、まだ高気圧の勢力が強くてそれ以上は東に行けず、高気圧の縁に沿って三陸沖から北に進路を変えて…東北の太平洋側に初上陸となったそうですよ!
記録ずくめの珍台風は、もう1つ! 「長寿記録」も達成しました!! 台風10号は8月19日の21時に、関東の南東海上で発生し、南大東島の南海上まで異例の南下。25日頃からUターンを始め、駿河湾のはるか沖合いを通って小笠原諸島近海を北東へ進んでから北上!! 各地に記録的な大雨をもたらした後、たった今31日の午前0時に、日本海北部で温帯低気圧に変わりました。その寿命は、なんと11日と3時間!! これは、日本近海の北緯30度以北で発生した台風としては、これまの最長だった1970年の台風12号(9日と6時間)を大きく更新する新記録だったそうです。
急激な地球温暖化で、台風の世界にも『巨大化』だけでなく『長寿化』の波が訪れているわけです! 冗談ではなく…! 南海トラフ大地震に備えた津波防災事業に加え、いつもこの時期は気が気でない漂着ゴミの処理の問題も併せ…海の目の前で生活している町の政治家として、付け焼刃でない抜本的な台風対策の必要性を考えさせられます。。
上の写真は今日の午後の鹿島海岸。台風一過の青空の下、高波を前に気合を入れている若いサーファーの姿です。。サーフィンはしない私ですが、彼のワクワクする胸の内は手に取るように分かりました!!(笑)
<Yahoo! 台風情報より>