真の「議会改革」とは?
「ここは、同じ日本の議会なのか??」…にわかには信じられないような感動的な地方議会に行ってきました!
牧之原市議会『議会広報特別委員会』の視察研修2日目は、世界最先端の情報改革を進める三重県鳥羽市議会に伺いました。同市は牧之原市とほぼ同じ約108平方㌔の面積ですが、そのほとんどはリアス式海岸に面した傾斜地や離島で、約2万人の人口は広い範囲に点在しています。悪天候や災害時に、職員や議員全員が市役所に参集することも厳しいとあって、6年前から最新のIT技術を取り入れた市民への情報発信を推し進めてきました。
牧之原市議会と同じく『議会基本条例』で定めた…「本会議ほか、すべての会議を原則公開」という規定を拡大解釈。。今では、議会内で開催されるほとんど全会議をインターネットで、生&録画中継しています。市民は、自分の好きな時間に、好きなだけ、パソコンやスマホで過去6年間の議会での会議映像を自由に閲覧することができるのです。公開の会議の内容を、議員個人のブログで発信するだけで、『政治倫理委員会』で審議に掛けられることもある某市議会とは真逆の情報公開が全議員に常識として根付いていました。
そして、さらになんと鳥羽市議会では、ツイッターやFacebookに公式アカウント、YouTubeには登録チャンネルを持っていて、議会事務局職員が議会の日程や議案内容や議決結果、ネット放送の告知、議会だよりの内容まで…の情報を随時発信していました!! そして、信じられないことに議場にも会議室にも無線LANが完備されていて、議員全員がスマホやタブレットを駆使して一般質問の資料の画像掲載や情報収集・発信にフル活用しているそうです。ちなみに議員個人の月額通信費の3分の1までが、政務活動費(年間15万6000円)で補助されています。(牧之原市議会には政務活動費はありません!)
驚くべきことは、その費用対効果でした。初年度に、議場や全会議室にテレビカメラや放送設備などを設置した導入コストが約850万円。有料配信ソフト、配線等で約5万円がかかったそうですが…その後は現在まで毎年のランニングコストは0円!! 「日本の市議会のIT化は、民間より10年は遅れています。そもそも、現代のSNSの使用料は、無料なのですから公式アカウントなどを取得するなどセキュリティーに配慮すれば、採用しない手はありません。それだけで経費削減にもなりますから。全国どの議会でも、すぐに導入が可能です」と議会事務局の担当者が自信たっぷりに明言するのをとても頼もしく、うらやましく感じました。
「鳥羽市議会には、市民に隠すものなんて、何もありません。すべてオープンにしています!」と笑顔で話す副議長さんに、後光が差して見えました。「普段の視聴者数は多くありませんが、市民の生活に密着した大きな議題の時などは、視聴数は跳ね上がります。全市民、いや全国、全世界に『自分の発言が流れている…見られているんだ』と意識するようになれば…おのずと発言の質も向上し、議会改革も進むのです」。。。まったく正論です!!
ちなみに、鳥羽市議会では、やはり議会基本条例で市長や教育長ら、執行部の長だけでなく、なんと職員にまで会議における『反問権』を与えています。つまり、議会や委員会で議員が一方的に自分の質問や主張を展開するのではなく、質問・質疑される行政側にも「じゃあ議員はどうすれば良いか、お考えをお聞かせください!」と〝逆質問〟ができるというのです。これは革命的です! 必然的に、議員側も質問前には議案を読み込み、予習に励み、入念な準備をする必要が出てくるわけです。ちなみに牧之原市議会でも、一般質問時には市長だけには反問権が与えられていますが…先の12月議会でその行使はありませんでした。私の記憶では、過去2年間で2、3回です。
まさに「ところ変われば…」という衝撃的な体験でした。時代の先端を行く鳥羽市議会の取り組みを学ぼうと、今では全国各地から年間100近い、地方議会の広報担当委員会の視察団が訪れているそうです。。そして、同市議会が視察を受け入れる唯一の条件は…「鳥羽市内に宿泊していただくことです!! 我が市議会では、こういう視察研修も『観光資源』の1つととらえていますので…」と担当者はニヤリ!! さすが、年間400万人が訪れる国際的な大観光都市ですね。
このしたたかさとバイタリティも、われわれは見習わなければなりません!!
夕方、慌ただしく戻ってからは…吉田町の友人からお誘いを受けていた『憲法cafeしだはい』という勉強会にお邪魔しました。
静岡大学教育学部の笹沼弘志教授による『安保法と憲法~生命・自由・幸福追求の権利をめぐって』という講演を聴きました。
私の率直な感想は…先月末の横浜でのシンポジウムの時とほとんど同じでした。今回の方が、少しだけマイルドでしたけど…
前回の記事は…⇒ こちら!!