スマトラ島沖地震の日
テレビや新聞ではほとんど報道されませんでしたが…本日12月26日は、2004年(平16)にインドネシアのスマトラ島沖の深さ30㌔を震源域とする、今世紀世界で2番目の規模の巨大地震が起こった日です。(1位は1960年のチリ地震)
現地時間の午前7時58分53秒(日本時間+2時間)に発生したマグニチュード9.1(9.3説もあり)の巨大地震は、2011年の東日本大震災(同9.0)の約1.4倍、広島型原爆の約1万倍のすさまじいエネルギーで全長1000~1600㌔のプレートを破壊して、最大20㍍の断層のずれを引き起こし、海底を9㍍も隆起させました。平均10㍍、最大34㍍の大津波が発生し、インドネシアのだけでなく、インド洋沿岸のインド、スリランカ、タイ、マレーシアなど東南アジア全域、そしてソマリアやマダガスカルなどの東アフリカで合計約22万人が死亡。負傷者約13万人。被害総額約9億7700万㌦(約1170億円)という、人類史上最大級の自然災害となりました。
そんな全世界の〝津波史〟に残る大惨事の起こった歴史的な日に、中部電力が2011年から建設していた浜岡原子力発電所の高さ22㍍の「津波防波壁の本体部分が、完成した」と、インターネットのニュースサイトで、報道されていました。防波壁は全長1.6㌔で、工事は東日本大震災後に高さ18㍍で始まったものの、南海トラフで国が想定した津波の高さが当初の計画を上回っていたことから、さらに4㍍かさ上げされていました。
工事の詳細等は…⇒こちら!!
明日の新聞各紙がどのように報道するかは定かではありませんが…現時点でネット内では、上記の2つのニュースを関連付けた報道や記述は見当たりません。。。しかし、私は「スマトラ沖地震の日」の本体工事の終了は「偶然ではないな!」と思いました。4年前から、総額3500~4000億円もの巨額の費用を投じて実施している「南海トラフ大地震対策工事」の根幹部分である防波壁をわざわざこの年末の、しかも土曜日に完成させる必要は、まったくないからです。
普通の市民感覚ならば、未曾有の津波被害をもたらしたスマトラ沖地震の起こった日に、あえて津波防波壁のニュースを公表しません。。3.11以降、われわれ日本人は、どんなにしっかりと対策を施しても「自然災害に対して100%の安全はない!!」という現実を思い知ったからです。東日本大震災以上の大津波の記憶が、人々の脳裏に残っていれば、せっかくの入念な津波対策が、再び矢面に立たされるかもしれません。
<↑↑中部電力浜岡原子力発電所のHPより>
だからこそ私は、中部電力が「逆に、あえてこの日を選んだのではないか?」と感じるのです。 (同原発のホームページでは、まだ〝完成〟を発表していませんが…) 「どんな比較や厳しい検証にも、過去最大級の津波にも耐えられる」、と自信を持って説明ができる立派な防波壁を造ったのだ…という自負が、確かなプライドがあるのでしょう。
中部電力は国の原子力規制委員会に浜岡原発3、4号機の「安全審査」を申請しています。ただし、ご承知の通り、牧之原市を含む30㌔圏の市町との安全協定締結のための話し合いは進んいませんし、合意形成の見通しも立っていません。そんな閉塞感漂う状況の下、再来年9月までに終了予定のすべての安全対策工事の〝完了〟に向けて、大きな転機となった1日でしたが…さて、明日の新聞各紙は、このニュースをどう報じるでしょうか?
ところで、昨日の3市長による県知事への「五輪サーフィン誘致を要望」のニュースですが…最大部数の地元紙の記事には、前代未聞のウエットスーツ姿で頑張ってくれたサーファーのみなさんの写った写真は掲載されず…いや、それどころか、彼らが同行した事実の記述すらない、とても淡々とした論調の記事でしたね…。3市長の直談判に対して「川勝知事は『分かりました』と応じた」そうですね。。。
<今年2月、牧之原市議会有志による視察時の防波壁の様子>