世界トイレの日
本日、2014年11月19日は、昨年国連が制定した『世界トイレの日』なんだそうです。
そんな記念すべき第2回のトイレの日に、静岡市の清水文化会館マリナートで開催された『災害時のトイレ問題・し尿処理研修会~東日本大震災に学ぶ』(主催:静岡県環境整備事業協同組合)というシンポジウムに参加してきました。
阪神淡路大震災や東日本大震災などの過去の大災害において、トイレの不足や不衛生なトイレ環境は、被災者の健康に悪影響を及ぼし、感染症の温床になるなど、命と健康にかかわる大問題になっています。しかし、その劣悪な状況は、しばしば「あまりに汚すぎて、映像や写真で紹介できない」というにわかには信じがたいけれど、もっともな理由でマスコミには取り上げらません。
今回、南海トラフ巨大地震による甚大な被害が予想されている静岡県で、し尿処理業界の関係団体で組織する静岡県環境整備事業協同組合が、災害時のトイレ問題や被災直後の状況や応急対策、現在も続く復旧への取り組みなどを学ぶために開催した研修会に、東海・東南海・南海3連動大震災で、最大1万4000人!!が死亡すると県の文書で公式に想定されている牧之原市の政治家として、出席させていただいたというわけです。
私自身、3.11後の被災地でのボランティア活動で、被災地でのトイレ問題の深刻さは、十分承知していたつもりでしたが……東北各地の被災地で下水やし尿処理場の復旧を担当してこられた行政や業者の代表。そして、被災地での簡易トイレの状況を調査・研究されてきた『NPO法人日本トイレ研究所』の理事の方の講演を聞き、あらためて問題の重大さ、準備の必要性を痛感し、背筋が寒くなりました。
東日本大震災以降、各都道府県や地方自治体では、防災や避難計画や基本構想が続々と制定されています。しかし、水や食料の備蓄や供給と同等の必然性があり、救護所や避難所の設置の際には、絶対に無視できない『防災トイレ計画』を制定している自治体はほとんど皆無です。東日本大震災の際のアンケート調査では、避難所で問題となった施設や設備の第1位は『トイレ』(74.7%)だったというのです。
『津波防災まちづくり計画』を推進し、津波避難タワーや命山、防災倉庫などのハードの設置には積極的な牧之原市ですが、こと災害時に対応する新規のトイレ問題に関しては、現在のところ秋葉山の頂上に設置が予定されている『バイオトイレ』1基の計画しか、具体化されていません。今後は、避難所や仮設住宅の計画とセットで、「簡易トイレ」と「し尿処理」の問題も考えていかねばならないことを実感しました。
被災時に、誰もが安心して使えるトイレの確保は、命を守ることであり、人間の尊厳を守ることなのです。
◆世界トイレの日(World Toilet Day) 2013年7月に国連が総会で定めた記念日。21世紀の今日もなお、世界人口の3分の1以上にあたる約25億人がトイレを使えず、劣悪な衛生状態の中で、1日に1400人もの子供たちが下痢性疾患で亡くなっていることに対する問題提起のために制定された。「11月19日」になった理由は…2011年11月19日に、シンガポールで世界トイレ機関(WTO: WORLD TOILET ORGANIZATION)が創設され「世界トイレサミット」が開催されたことから。ちなみに日本では独自に1986年(昭和61)から、日本トイレ協会が「11月10日」を「い(1)い(1)ト(10)イレ」の語呂合せから「トイレの日」制定している。