2つのヒアリング
本日は早朝から、昨日提出した9月定例会での「一般質問」の通告書に対する関係各部課からの「ヒアリング」が行われました。
これまでも、何度も書いたことを今回も繰り返しますが…これは各議員が通告した質問に関連する役所の部課の担当者によるいわば「事情聴取」です。19日(金)の一般質問を前に、当局にとっては、われわれ議員が「どういった意図、趣旨で質問するのか? 何をどう答えてほしいのか?」ということを探り出す機会です。
一方、質問する議員側にとっては「こんなことを聞きたいから、こういう資料やデータを準備してね?」という依頼の場となります。お互いの腹の探り合いですから、どちらにもメリット、デメリットがあります。国会でも、県会でも多かれ少なかれ、存在する制度です。これをやりすぎると議場での討論が「茶番劇」になってしまうおそれがありますが、活発な討論と実りある回答を引き出すためには、大切な事前の話し合いだと私は思います。
今回も、市長の答弁の原案を作成したり、時には補足や詳細説明をしてくださる担当者のみなさんが「大石けんじは、いったい何を企んでいるんだろう?」というような心配そうな表情でしたので…私は「心配無用」とばかり、こちらの手の内を説明しました。そもそも、私の質問はほとんどだいたい総論的、観念的で…担当各課に細かい数字や具体的な資料を要求していないので(笑)…担当者にとっては今回の質問に立つ11人でもっとも御しやすい議員ではないかと、勝手に自負している次第です。
<福島・南相馬市の除染作業で出た大量の汚染土>(2014.3.10 大石撮影)
さて、話はまったく変わりますが…昨日、ある首都圏の友達から、突然SNS(インターネットの交流サービスの総称)のFacebookのメッセージが届きました。
「不本意ながら飯舘村の除せん作業員になりそうです。 取り合えず」
少し年下の彼からの連絡は、私の誕生日以来2カ月ぶりでした。3年以上の付き合いですが、現実の世界では1度も会ったことはありません。でも、心はつながっています。何の前触れもなく年に数回、こうしてオヤジ2人の『深夜なんでもチャット』が幕を開けるのです。
「えーーーーーー!! またどうして??」と問いかけると…。
「希望は原発内でしたが、定員だそうです。人気無いかなーと思ったら、大人気」と書いてきました。
「そういう問題じゃなくって(笑)」と慌ててツッコむと…
「除染は無駄かなーって思います。だって放射能漏れてるもん」と答えるのでした。
「それは、そうだけどーー!! そういう問題でもなくって…なんで福島原発で働こうと???」
「だから人手足りないのかなーと思って。。誰かやらなきゃねーっとは思うんだけどって言われます。でも満員」とひょうひょうと彼は続けました。
「ありがとうね。。日本の恩人です。本当に気を付けてくださいね!」としか言えなくなってしまいました。
「とにかく行ってみます。機会が有れば、もっと有意義な原発敷地内に移ります」とまで平然と言うわけです。聞けば、彼の家業は「それなりに順調」で、高額といわれる報酬を期待しての決断ではなかったのです。「待遇は分かりません。あてにはしてません。出来る所迄はやります」と言い切りました。
「ボクがブログとかで『ある友人が使命感を持って、福島に向かった』と書いてもいいよね」と尋ねると…
「はい。でも、使命感は有りません。もっと普通な感じです」
「困っている人たちのためにちょっと働いて来よう!…みたいな?」
「んーーーーちょっと違う。これでも良いのかな?って感じです。確信も無く、現状も分からず…」
「では、真実を自分の目で見てきたいという探究心??」
「無いですねー。行っても果たして見えるか。。。」
「命に関わる危険な場所かもしれないのに…ふわーとした感覚だけでは行けないはずだから。。」
「私あまり気にならないんです。そういう事。多分子供の頃に長くは生きられないかも知れないと言われて育ったので。。でも最近定期検診で普通に生きるかもってwwww」
「それはよかった!!でも、今の福一の状況を何とかしたいとは思ったわけでしょ?」
「少しだけ。10%ぐらい。向こうで何か分かった事や気付いた事有ったら報告しますね」
「くれぐれも体に気をつけて!無理だけはしないで。自分は近寄りもしないで福島や原発の問題を語っているボクたちとは、比べようもない尊い決断だよ。君を心から尊敬するよ! ありがとう!!」
「私も120才迄綱引きをするパパを尊敬しています(笑)」
「ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!」
パソコンの画面を通じての不思議な会話、純朴な「明日の除染作業員」へのヒアリングは、こうして終わりました。彼の考えに賛否はあるでしょう。「現地に行けばすむ話じゃない!」「そんな簡単な問題じゃない!」と憤る人もいるでしょう。人の考えはさまざまです。私は「除染は意味がある。やった方がいい」と思っています。現実問題として故郷に帰りたいという人、帰らせたいという国や行政の人たちのためには、除染は「必要悪」だと思います
私は、彼と一緒に行けない自分を情けなく思っています。論理的、現実的にではなくて、感情的に。そして道義的に…。