広報委員会視察(最終日)
牧之原市議会「広報特別委員会」の三重県視察研修の最終日は、同県最北の「いなべ市」にお邪魔して同市議会の「議会広報編集委員会」の、みなさんと交流させていただきました。
いなべ市は、2003年(平15)に、人口や規模の似通った同じ郡の4町が対等合併して誕生した新しい市です。4万6162人(4月1日現在)の人口も、自動車部品関連会社(トヨタ車体、DENSO)に依存している点や、お茶の産地であることなど、牧之原市とよく似た背景、雰囲気を持つ地方都市でした。ちなみにこれまでは牧之原市と同じく、4つの旧町の庁舎に市役所機能が分散された「分庁方式」で市政が運営されてきましたが、合併10周年を機に現在3期目の市長が所信表明で、ついに「新庁舎」の建設を宣言したそうです。同市議会は、合併当時は60人もの大所帯だったそうですが…過去2回の改選時に定数削減が進み、今では牧之原市より4人多い「20人」が定員となっています。
さて、本題のいなべ市議会の広報を担当する議会広報編集委員会ですが…前日の亀山市とは対照的に、牧之原市同様、ほぼ100%「議会だより」の作成に特化している委員会でした。特徴としては…(1)横書き、左とじ (2)表紙の写真は子どもを載せる (3)紙面の内容に関するクイズコーナーを設けて正解者の中から15人の図書券1000円を贈呈 (4)クイズの応募はがきに添えられた市民の声をもれなく掲載 (5)議案に対する全議員の賛否を〇Xの表で掲載 (6)討論の内容を掲載する…などの独自の企画で、市民に愛される広報誌づくりに励まれていることがわかりました。
ネット関連の特徴としては、市のホームページ内にある市議会のページのトップに大安庁舎内にある議会の内部の映像が流れ、議会開催時には開会から閉会までの全あいさつ、審議、質疑、質問、採決などのすべての議会活動が「ライブ配信」されているそうです。ただし、こちらの方は広報の委員会は一切関知せず、ITスキルに長じた市の担当課が、議会側に導入を提案し、管理・運営を行っているのだそうです。亀山市の極端なネット戦略に衝撃を受けていたわれわれにとっては、紙の広報誌にこだわり続けるいなべ市議のみなさんの「ほのぼの感」あふれる家族的な空気は、心地よいものの、正直ちょっと物足りなくも感じました。
それでも、7人の委員が議会だよりの作成に専念し、議会事務局と何度も編集会議や確認作業を行って、つくられた広報誌はやはり見事な出来栄えでした。議会のネット配信や全情報公開が、実現できるか未定の現状では、われわれ牧之原市の広報委員会としては、まずはいなべ市のような「丁寧で、読者にやさしい紙面づくりを最優先させる」ことも大切なことではないか? とも思いました。