謎の大石に祈りを込める
「ケンジさん! 大変だー! でっかい丸い石が出た!!」と若き庭師の親友・鈴木克哉さんから連絡をいただき、ワクワクしながら見に行ってきました。
「うわー!何だ? これはスゴい!!」
先日、坂部区の山間の土砂採取場の土の中から「忽然と現れた」直径1㍍以上あるこのまん丸い謎の巨石の重量は、何と1200㌔! 私の妻の母国コスタリカで、同様にボコボコと産出される真円の石球(Stone spheres of Costa Rica)の平均よりは小ぶりですが…我が市の有名な〝遠州七不思議〟である西萩間の『子生れ石』たちよりずっと大きいのです!
庭石の専門家でもある鈴木さんによると、この石は「ちょっと調べてみたら、ノジュールの可能性が高いですね。この辺でも何十年1度、見つかることがある見たいです」とのことです。ノジュール(nodule)とは「団塊」の意味。。「貝の化石や砂などを核として海中や土中の石灰質が、何百万年、何千万年(何億年?)もの時間をかけて濃集され、凝固したものの総称」なのだそうです。そして「周囲の岩より固く、球状になる場合が多い」んだそうです。 子生れ石と同様に、自然が作り上げたセメントのような石だそうです。火山性の花崗岩を人が削って作ったとされるコスタリカの石球とは違いました。
科学的な解析作業の一方で、太古からの夢とロマンに魅せられた鈴木さんが、実家と仕事場のある勝間田区勝田の神社(富士浅間神社)の祠に慎んで奉納したこの石は…いつの間にか〝授かり石〟と命名されて…近所の方々が総出で神様にお祈りをして…。こうして21世紀の平成の世に「子宝を願う人々」のための新たな民話が生まれました(笑)!!
「あはは…。でも、まだ誰も何も授かってないっすけどねー!(^.^)」と鈴木さんは照れくさそうに笑いました。「おー! だったらボクが1番でいただきたいな!」と思いました。偉大な〝大石〟を亡くしたばかりのこの私の、「大きな意志(遺志)を叶えてほしい」と…神妙に手を合わせました。
するとどうでしょう? どことなく誰かの頭の形にも似た大石に…「お前はもっと丸くなりなさい! でも石なんだから、簡単に凹むんじゃないぞ!」と諭されたような気がしました!(笑)
◆コスタリカの石球(Stone spheres of Costa Rica) 1930年代初め、中米コスタリカの太平洋岸熱帯雨林をバナナ畑を作るために開墾した作業員によって発見された巨大の石球群。驚くことにそのどれもがほぼ完全な球形で、なめらかに表面が磨かれた〝人工物〟とされる。
現在までに200個以上が土の中から発掘されている。製作の目的や正確な年代は不明だが、西暦300~800年代に栄えた「ディキス石器文化」で、祭祀や天体観測のために使用されたという説が有力視されている。石球を含む考古遺跡4カ所は「ディキスの石球のある先コロンブス期首長制集落群」の名で世界遺産リストに登録されている。
ほとんどはタラマンカ山地の麓に産する花崗閃緑岩が原料であるが、貝殻石灰岩製のものも少数存在する。直径2㌢の小さなものから、同2㍍を超える大きなものまでとさまざまである。最大級の石球は重量にして約25㌧である。現在、石球の持ち出しや売買は法律で禁じられている。