世にも不思議な火事
新聞記者を20年間やっていた私は、「真実は、現場に行かなければ分からない」という固い信念を持っています。
すさまじい雷雨に見舞われた本日未明、我が家から800m西にある牧之原市鹿島の織布工場で、何とも不思議な火事が起こりました。地元紙の夕刊やテレビで報道された通り、畑敬次さん(78)の経営する「織布工場」の内部、数台の機械の下の床が燃えて抜け落ちていました。しかし、工場の屋根や壁、隣接する畑さんの自宅に異変はなかったのです。「この工場のどこに落雷があったの?」と首をひねりながら、周囲で現場検証中の消防に尋ねて、仰天しました。
なんと、「数億ボルト」もの超高電圧の落雷による「最大50万アンペア」の電流も持つカミナリが、50m以上離れた市の「防災無線」の柱に落下。そのまま地面に流れ、舗装道路の下の砂地を発熱しながら50m以上も走り、布工場の縁の下に綿のようにたまっていた大量の糸くずに引火したというのです。「こんな変な火事は、僕らも初めて。。ちょっと信じられないよねえ」と団長さんもあきれ顔でした。
幸い、被害は最小限で済んだものの、大部分の機械は消火液と水をかぶり、再稼働は容易ではなさそうです。被害額は数十万を超えるでしょう。防ぎようのない天災だったとはいえ、公共施設への落雷のいわば「とばっちり」を受けての被災だけに、公的な補償も必要ではないかと思いました。
新聞やテレビは「牧之原市で落雷による火災がありました」と報じただけでした。災害時の即座の対応、そして被災した市民の立場の立った救済策の立案など…さまざまな点で、これからの私にとって貴重な経験となる1日となりました。